002 民法物権

2013.01.01

担保権の設定されている物権の共有物分割(最決平成24年2月7日)

最決平成24年2月7日判時 2163号3頁
平成23年(許)第31号 担保不動産競売手続取消決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件(棄却)


(経過等)

(1) Xら及びYらが共有する本件不動産には,前所有者により金融機関のために極度額合計2億6500万円の根抵当権が設定されていたところ,Xらを原告,Yらを被告とする共有物分割請求訴訟において,本件不動産を競売に付し,その売却代金から競売手続費用を控除した金額を,共有持分の割合で分割することを命ずる判決が言い渡され,確定した。
この判決に基づくXらの申立てにより本件不動産につき競売手続が開始されたが,執行裁判所は,Xらに対し,本件不動産の買受可能価額約3700万円が,手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の見込額の合計額約2億6600万円に満たない旨の民事執行法63条1項2号に基づく通知をし,Xらが同条2項所定の対応をしなかったことから,本件の競売手続を取り消す旨の原々決定をした。

(2) Xらは,執行抗告をしたが,原決定は,
①同法195条は,共有物分割のための不動産競売につき何らの留保なく同法63条を準用していること
②先順位抵当権者が本件不動産の値上がりを待つなどする換価時期選択の利益を無視して,無剰余であるにもかかわらず,共有物分割のための不動産競売の手続を進行させることは相当ではないとして,抗告を棄却すべきものとした。
(東京高決平成23年 3月31日 金法 1959号101頁<参考収録>東京高等裁判所平22(ラ)2289号)

(3) これに対して,Xらが,共有物分割のための不動産競売に,民事執行法63条は準用されないと解すべきであるとして,許可抗告を申し立てた。

(判旨)

 共有物の分割において民法258条2項所定の競売を命ずる判決に基づく不動産競売については,民事執行法59条(売却に伴う権利の消滅)及び63条(剰余を生ずる見込みのない場合の措置)が準用される。

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