入札談合と独占禁止法(最判平成24年2月20日)
最判平成24年2月20日民集 66巻2号796頁
平成22年(行ヒ)第278号 審決取消請求事件(破棄自判,被上告人らの請求棄却)
訴外公社の発注した土木工事につき、原告らを含む33社が談合を行い、独占禁止法3条の不当な取引制限を行ったとして、被告公正取引委員会が、原告らを含む30社に対して課徴金の納付を命じる審決をした。
これに対し、原告らが同審決の取消しを求めた。
原審(東京高判平成22年 3月19日平20(行ケ)25号 ・ 平20(行ケ)26号 ・ 平20(行ケ)32号 ・ 平20(行ケ)38号公正取引委員会ウェブサイト)は、
本件で、独占禁止法2条6項所定の「一定の取引分野」において「競争」を「実質的に制限」する場合とは、本件工事の入札に関し、建設業者が自由で自主的な営業活動を行うことを停止あるいは排除することにより、特定の建設業者が、ある程度自由に本件工事の受注者あるいは受注価格を左右することができる状態に至っていることをいうところ、本件では同項所定の行為があったとの事実を認定するに足りる実質的証拠はないから、不当な取引制限の結果原告らが各物件を受注したとの事実を認定するに足る実質的証拠もないとして、本件審決を取り消した。
公正取引委員会による上告がなされ、最高裁判所は次のように判断して、原審を破棄し、原告(被上告人)の請求を棄却した。
独禁法(平成14年法律第47号による改正前のもの)2条6項にいう「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」とは,当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいい,(本件基本合意のような)一定の入札市場における受注調整の基本的な方法や手順等を取り決める行為によって競争制限が行われる場合には,当該取決めによって,その当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらすことをいうものと解されるとした上,都市基盤整備事業を行う法人が特定の地域において指名競争入札の方法により発注する一定規模以上の土木工事について複数のゼネコンがした受注予定者の決定等に関する合意が受注調整の結果として受注予定者の落札率が97パーセントを超えた等の事情によれば「不当な取引制限」に当たる。
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