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2005.02.15

商法241条3項

ライブドアのニッポン放送株取得に関し、フジテレビが、TOBにより、ニッポン放送株を25%取得することで、ニッポン放送のフジテレビにおける議決権行使を阻止する意向であることが報道されている。
商法241条3項によれば、「会社、親会社及子会社又ハ子会社ガ他ノ株式会社ノ総株主ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超ユル議決権又ハ他ノ有限会社ノ総社員ノ議決権ノ四分ノ一ヲ超ユル議決権ヲ有スル場合ニ於テハ其ノ株式会社又ハ有限会社ハ其ノ有スル会社又ハ親会社ノ株式ニ付テハ議決権ヲ有セズ 」とあり、この規定そのものの問題。

これは、株式相互持合いの場合の議決権行使についての規定で、司法試験受験のときにも必須の論点だったものであり、少し懐かしい感じがする。今は昔、昭和56年の会社法改正で規定されたもの。要は、もし、フジテレビがニッポン放送株を25%取得すると、フジテレビは、ニッポン放送を支配することになるので、この規定がなく、ニッポン放送がなおフジテレビの株主総会で議決権行使ができるとすると、それは、支配しているフジテレビの意思に沿った議決権行使をすることになる。つまりは、フジテレビ経営陣によるフジテレビ株主総会の支配ということになり、株主総会決議の歪曲化ひいては会社支配の歪曲化がおこるというものだ。

そして、同法211条の2では、子会社による親会社株の取得を制限しており、「他ノ株式会社ノ総株主ノ議決権ノ過半数又ハ他ノ有限会社ノ総社員ノ議決権ノ過半数ヲ有スル会社(以下親会社ト称ス)ノ株式ハ左ノ場合ヲ除クノ外其ノ株式会社又ハ有限会社(以下子会社ト称ス)之ヲ取得スルコトヲ得ズ
一  株式交換、株式移転、会社ノ分割、合併又ハ他ノ会社ノ営業全部ノ譲受ニ因ルトキ
二  会社ノ権利ノ実行ニ当リ其ノ目的ヲ達スル為必要ナルトキ
2 前項各号ノ場合ニ於テハ子会社ハ相当ノ時期ニ親会社ノ株式ノ処分ヲ為スコトヲ要ス株式会社又ハ有限会社ガ子会社トナリタルコトヲ知リタル際ニ親会社ノ株式ヲ有スルトキ亦同ジ」ということなので、万が一、フジテレビがニッポン放送株を50%超取得すると、ニッポン放送は、所有しているフジテレビの株を処分しなければならないことになる。これはありえないと思うが。


逆に、ニッポン放送がフジテレビの株を25%取得したとしても、フジテレビは同様にニッポン放送の株主総会での議決権を行使できなくなり、50%超取得するようなことがおこると、フジテレビは所有しているニッポン放送の株を処分しなければならないことになる。これも益々ありえないだろうが。

この件は、今後どのように進むのか、興味が尽きない。

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