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2005.02.18

東証の時間外取引とTOB

先に、ライブドア関連で、商法241条3項を話題にしたが、今日は、東証の時間外取引を話題にしたい。
本年2月15日の東証社長記者会見でも、この点について、質問があったようである。
時間外取引とは、東証が数年前から設けたToSTNeTによる取引で、東証の立会時間外にオンラインのシステムを使って行うもの。おそらく本来今回のような大量の株式取引は念頭においていなかったのではないかと思われる。

TOBの手続きは、証券取引法に規定がある。同法27条の2によると、「その株券、新株予約権付社債券その他の有価証券で政令で定めるもの(以下この章及び第二十七条の三十の十一(第四項を除く。)において「株券等」という。)について有価証券報告書を提出しなければならない発行者の株券等につき、当該発行者以外の者による取引所有価証券市場外における買付け等(株券等の買付けその他の有償の譲受けをいい、これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この節において同じ。)は、公開買付けによらなければならない。ただし、次に掲げる株券等の買付け等については、この限りでない」とされており、公開買い付けによる手続きが必要になるのは、「市場外取引における買付け等」に限定されている。

今回の時間外取引については、東証のシステムで行うものであることから、時間外取引ではあっても、形式面では、市場内取引であり、公開買付けの手続きは不要である。また、証券取引法が 刑罰規定を置く特別刑法であるとの視点で考えると、実質面からみて、本件が仮に制度趣旨に反するとしても、構成要件の明確性の点から、拡大解釈・類推解釈は慎むべきであり(罪刑法定主義 憲法31条)、直ちに公開買付規定違反にあたるとすることはできないであろう。

以上のようなことを昨日(2月18日)書いていたところ、本日 証券取引法違反にあたるのではないかというニュースがあった。
要は、時間外取引以前に、売買することの約束があった場合、市場外取引になるのでは ということである。
このあたりは、法律判断とともに事実認定の問題ともなるので、微妙か?
時間外取引以前に証券の売買契約ができているのであれば、その取引にはTOBの手続きを要したのであるから、その後なした時間外取引はいわば決済のための道具であり、全体として市場外取引という考え方もありえるだろう。ただ、その場合でも、市場外での取引相手以外の者が時間外取引に参加してくることを排除することができないこととの関係をどうするのかか など、いくつかの疑問もある。

報道でしか事実関係を知りえないので、詳細なコメントは困難であるが、本件は、商法241条3項についての項でも述べたとおり、興味つきない。

なお、今日(2月20日)の毎日新聞に 時間外取引をめぐる問題のQ&Aがあった。

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コメント

昨日(2005年3月11日)、問題の仮処分について、仮処分を認める決定がなされたが、その中で、先に私が気にしていた東証の時間外取引問題について次のように、触れられていた。「事後に法解釈を拡張することにより規制の対象とするとすれば、市場参加者の予測可能性を欠き、ひいては我が国の証券流通市場の公正性や透明性を損なうおそれもあろう。」という部分が、私の気にしていた構成要件の明確性に関する裁判所の考え方を示したものと思う。

「しかしながら、証券取引法は、その規制対象の明確化を図るため、2条の各項に主要な文言の定義規定を並べており、「取引所有価証券市場」は「証券取引所の開設する有価証券市場」と定義されているところ(同法2条17項)、ToSTNeT―1は、東京証券取引所が多数の投資家に対し有価証券の売買等をするための場として設けているものであるから、これを取引所有価証券市場ではないと解することはできない。金融担当副大臣も、衆議院予算委員会において、本件ToSTNeT取引は現行法上基本的には違法と評価できないとの答弁を行っていることは、前記1(4)ウのとおりである。仮に、明文により規制の対象となっていない取引について、事後に法解釈を拡張することにより規制の対象とするとすれば、市場参加者の予測可能性を欠き、ひいては我が国の証券流通市場の公正性や透明性を損なうおそれもあろう。」

今日の産経新聞に、本件時間外取引が違法ではないかとの記事がまた出ていた。事前に交渉の上、相対で取引を行った疑いが強いとするもの。
時間外取引を決済の方法として使ったという主張なのだろう。

問題は、前に指摘したように、事前に示し合わせてこのシステムを使ったとしても、予定した取引相手以外の一般投資家が、売買に参加することを完全に排除することができない点にあると思う。
また、同様の方法は、立会取引でも不可能ではないのではないか?

今日の日経朝刊によると、金融庁は本件のような時間外取引についても、上場企業などの株式を3分の1を超えて取得する場合はTOB規制の対象とする方針とのこと。勿論法改正が必要なので、これについては、3月上旬に金融審議会で議論し、早ければ開会中の通常国会に証券取引法改正案を提出するらしい。さすがに大問題との認識なのか、動きが早いです。
そうなると、立法後は同じことが起こった場合に、罰則適用もあるということになります。

冷静に説明できる人は昨今の混沌としたアジアでは必要に思う。今回の買収が国から認められないことが万一あれば外資から「やっぱり日本市場は閉鎖的」と思われるのは避けられません。

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