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2005.08.15

建物明渡請求訴訟での和解

借地借家法が改正された結果、普通建物賃貸借(更新型借家)についての建物明渡訴訟で明渡合意の和解をする場合、対象物件が、居住系以外のオフィスや、店舗、倉庫などでは、従来の解除合意(または解除確認)+明渡猶予方式に加えて、解除合意(または解除確認)+定期建物賃貸借合意の和解による可能性もありそうである。

しかしながら、私は、なお、解除合意(または解除確認)+明渡猶予方式を妥当と考えるものである。
以下、解除合意+明渡猶予方式のメリットと解除合意+定期建物賃貸借方式のデメリットを論じてみたい。なお、ここでは、主として、和解時の合意により建物明渡をすることについては、当事者に一致がある場合であり、和解時になお将来的に賃貸借をしていくとの合意があるのであれば、むしろ、賃貸借契約の内容を確認する方向の和解が妥当と思われる(確認の内容が普通建物賃貸借なのか、定期建物賃貸借なのかは、そのときの合意した内容による。。)。また、居住系の建物賃貸借の場合、普通建物賃貸借を定期建物賃貸借に切り替えること自体が許されないことから、ここでの検討の対象にはならない。

1 解除合意+明渡猶予方式のメリット
建物を一定期間後明け渡すという当事者の意思にもっとも合致すると思われる。
また、和解調書以外に期間に終了させるための要件は不要である。
裁判上の和解により合意する場合、できるだけ裁判外の事由が和解の効力に関係しない方がベターであり、その意味では、次に述べるとおり定期建物賃貸借方式は成立要件や終了要件が複雑であり、和解条項だけでの明渡をするためには不向きかもしれない。
また、明渡猶予がメインの合意であるので、猶予できない場合として、賃料相当損害金の不払等を入れることが容易である。

2 解除合意+定期建物賃貸借方式のデメリット
この方式にも、賃借人に抵抗感がないとのメリットはある。しかし、抵抗感があるのであれば、終了・明渡を前提とする和解ができる段階ではないのであり、無理に和解することは、場合によっては、錯誤の主張も生みかねない。
先に述べたとおり、定期建物賃貸借方式では、契約時及び終了時に要式を要求しており、和解条項だけでその要件を満たすとするのは、私見とはなるが困難と思われる。従って、和解前に、説明書面の交付+説明、終了時における通知が必須となり、前者については、裁判官面前でさせるなど方式が守られることの担保が可能であるが、後者については、方式を守ることの担保はない。その場合は、和解条項とおりの明け渡しはなされないことになる。何かやるとすると和解条項中に方式について記載しておき、賃貸人に注意を促すことによる位しかないのではないか。
そうすると、和解条項の記載のみで効力を持たせようとすると困難を伴うこととなってしまうが、このことは、必ずしも、一定期間後の明け渡しをめざす当事者双方の和解時点の意思にも合致していないのではないだろうか。

以上 簡単な考察にとどまるが、近時の担当事件で、建物明渡事件の和解の際に定期建物賃貸借が使えないかと検討したところ、困難が多いことに気づいたことから、その点の私の考え方をポストする次第である。


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