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2006.05.16

賃貸人の地位移転

賃貸人の地位移転については、これはいわゆる契約上の地位移転にあたるものの、原則的な契約上の地位移転と異なり、土地や建物の所有者である賃貸人が、所有権移転をする場合には、賃借人の承諾を要せず、また賃借人が対抗要件を具備している場合には、旧所有者と新所有者との間に、賃貸人の地位移転の特別の合意なくとも、当然に賃貸人の地位が移転するとされている。なお、これを新所有者が賃借人に対抗し、賃料等の請求を「するためには、所有権移転登記を必要とする。

このように所有者である賃貸人の地位移転は、所有権移転を基準にして考えればほぼ問題がない。ここで、所有権移転登記だけ経ていれば、賃借人の承諾がなくても、賃貸人の地位移転を賃借人に対抗でき、賃料請求できるということは、数多くのテナントを有する所有者兼賃貸人が、この物件をテナントがいる状態で転売する場合には、手続が非常に簡易なもので足りることになる。

近時、以上のような所有者兼賃貸人の賃貸人の地位移転ではなく、転貸借をしている場合の転貸人のように、所有権移転を伴わないケースにおける賃貸人の地位移転が問題となる相談事例が、多数見受けられる。これは、不動産投資ファンド案件などで、信託会社などが、物件を賃貸ビル等として運用している場合に、投資ファンド側が早期の売却・換価を求めた結果、一方で信託受益権の譲渡がなされる反面、他方で、譲受人が信託受益権ではなく実物不動産そのもの取得を目的とした場合などで、信託会社自体は自ら直接には賃貸借をせず、関連会社等に転貸させている場合があることから、相談事例が多くなっているのではないかと推察する。
このような、場合、信託受益権の譲渡と信託会社との間での信託契約の解除をすることで、実物の不動産を取得することが一応できそうであるが、賃貸人の地位は、別途、転貸人から譲り受けない限り、承継しないものと考える。
この場合には、所有権移転に伴う事案と異なり、転貸人からの賃借人に転貸人の有している賃貸人の地位の譲渡についての承諾を要することになる。

所有権移転に賃貸人の地位移転が伴うというケースは、旧所有者=旧賃貸人というケースを前提にしており、そうでないケースでは、契約上の地位移転の一般的な手続きに従い、賃借人の承諾を要する。ある意味あたり前のようであるが、意外にそのあたりの手続が不十分なことがあるようであり、近時 相談も多いことから、ここにアップする次第である。

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