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2007年9月

2007.09.30

学納金返還請求訴訟最高裁判決

最判平成18年11月27日民集60巻9号3597頁、判時1958号12頁(学納金返還請求訴訟)

① 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」、「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約を締結した場合において、当該合格者が入学式を無断で欠席することは、特段の事情のない限り、黙示の在学契約の解除の意思表示に当たる。
② 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」、「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は、入学式の日までに明示又は黙示に同契約が解除された場合には、原則として、当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして、同号によりすべて無効となる。
とした。

2007.09.25

9月第四週のお仕事

平成19年9月29日
午前 午後 日弁連交通事故相談センター本部合宿
平成19年9月28日
午前中打合せ後
午後、日弁連交通事故相談センター本部の合宿へ
平成19年9月27日
早朝打合せ、昼食会(法曹緑会)、新人歓迎会(法友会)など。

平成19年9月26日
午前 離婚案件打合せ
昼   ロータリークラブ 卓話は、私の紹介で IDUの小屋さん。
午後 法務研究財団 法務速報関連
夕方 内部打合せ
夜   某派閥の化合

平成19年9月25日
今週も 月曜日が国民の祝日であり、火曜日からのスタート。
午前 司法委員
午後 交通事故相談
夕方から夜
    事務所にて法律相談

2007.09.24

9月第三週のお仕事

2007年9月20日・21日
釜山に出張。
日本物流不動産評価機構の韓国物流施設の視察会への合流。


2007年9月19日
午前から昼 ロータリー倶楽部 ガバナー公式訪問・クラブ協議会
今年度は、出席奨励委員長になっていることから、クラブ協議会に出席。
出席率を上げるための活動(メイクアップ先の紹介など)に触れたが、ガバナーからは 率 ということにはあまりこだわらなくて良いのではとのお話があった。私もそれはそれでそう思う。少し安心した。
午後 司法委員
午後 自賠共済紛争処理機構関係
夕方 20日 21日 と不在となることから、司法修習生にとっては 私と接する最終日。送別会を開く。
といっても、私と某女性弁護士のみの出席で、若干寂しかったが。
毎回私のところで修習する修習生は、優秀な方ばかりで、こちらが教えられることも多い。今回弁護修習・選択型修習を終えられた方も大変優秀であった。

この後、司法研修所に戻り、二回試験を経て、実務に出ることになる。二回試験は当然に突破いただき、実務で活躍することを祈念する。


2007年9月18日
午前 司法委員
昼   建築基準法関連打合せ
午後 香港の民法に関する案件
午後 交通事故

2007.09.23

自殺免責期間経過後の自殺と生命保険金の支払

生命保険について、商法は、次のように規定し、被保険者が自殺により死亡した場合には、保険者は、保険金額支払につき免責されるとしている。
すなわち、商法第680条は、
 左ノ場合ニ於テハ保険者ハ保険金額ヲ支払フ責ニ任セス
一  被保険者カ自殺、決闘其他ノ犯罪又ハ死刑ノ執行ニ因リテ死亡シタルトキ
二  保険金額ヲ受取ルヘキ者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ但其者カ保険金額ノ一部ヲ受取ルヘキ場合ニ於テハ保険者ハ其残額ヲ支払フ責ヲ免ルルコトヲ得ス
三  保険契約者カ故意ニテ被保険者ヲ死ニ致シタルトキ
2 前項第一号及ヒ第二号ノ場合ニ於テハ保険者ハ被保険者ノ為メニ積立テタル金額ヲ保険契約者ニ払戻スコトヲ要ス
としている。
これに対し、多くの保険約款は、保険契約から一定期間内の被保険者の自殺につき、保険者は保険金支払を免責されるものとの条項によっている。これは、商法の規定は、「自殺」による生命保険金の獲得を動機とする生命保険契約の締結は、一般に、被保険者が自殺をすることにより故意に保険事故を発生させることは、生命保険契約上要請される信義誠実の原則に反するものであり、また、そのような場合に保険金が支払われるとすれば,生命保険契約が不当な目的に利用される可能性が生ずるから,これを防止する必要があること等の趣旨であるところ、保険契約から一定期間後の被保険者の自殺についてのみ、保険者が保険金支払を免責される旨の約款の定めは、仮に生命保険契約締結の動機が被保険者の自殺による保険金の取得にあったとしても、その動機を一定期間を超えて長期にわたって持続することは一般的には困難であり、一定の期間経過後の自殺については,当初の契約締結時の動機との関係は希薄であるのが通常であること、自殺の真の動機,原因が何であったかを事後において解明することは極めて困難であること等を理由に,一般に有効な約定であると解されている。そこで、生命保険契約締結の動機が、被保険者が自殺により受取人に生命保険金を獲得させるにあることが明らかとなった場合において、なお、約款の免責期間後の自殺について、保険者が支払いを免責されないかが問題となる。この点について、最高裁判所は、次のように判示し、責任開始の日から1年内の被保険者の自殺については、死亡保険金を支払わない旨の定めについて、責任開始の日から1年経過後の日保険者の自殺については、特段の事情が認められない限り、当該自殺の動機や目的が保険金の取得にあったとしても、免責の対象とはしないとした(最判平成16年3月25日民集58巻3号753頁 判時1856号150頁)。
「商法680条1項1号は、被保険者の自殺による死亡を保険者の保険金支払義務の免責事由の一つとして規定しているが、その趣旨は、被保険者が自殺をすることにより故意に保険事故(被保険者の死亡)を発生させることは、生命保険契約上要請される信義誠実の原則に反するものであり、また、そのような場合に保険金が支払われるとすれば、生命保険契約が不当な目的に利用される可能性が生ずるから、これを防止する必要があること等によるものと解される。そして、生命保険契約の約款には、保険者の責任開始の日から一定の期間内に被保険者が自殺した場合には保険者は死亡保険金を支払わない旨の特約が定められるのが通例であるが、このような特約は、生命保険契約締結の動機が被保険者の自殺による保険金の取得にあったとしても、その動機を、一定の期間を超えて、長期にわたって持続することは一般的には困難であり、一定の期間経過後の自殺については、当初の契約締結時の動機との関係は希薄であるのが通常であること、また、自殺の真の動機、原因が何であったかを事後において解明することは極めて困難であることなどから、一定の期間内の被保険者の自殺による死亡の場合に限って、その動機、目的が保険金の取得にあるか否かにかかわりなく、一律に保険者を免責することとし、これによって生命保険契約が上記のような不当な目的に利用されることを防止することが可能であるとの考えにより定められたものと解される。そうだとすると、 上記の期間を1年とする1年内自殺免責特約は、責任開始の日から1年内の被保険者の自殺による死亡の場合に限って、自殺の動機、目的を考慮することなく、一律に保険者を免責することにより、当該生命保険契約が不当な目的に利用されることの防止を図るものとする反面、1年経過後の被保険者の自殺による死亡については、当該自殺に関し犯罪行為等が介在し、当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情がある場合は格別、そのような事情が認められない場合には、当該自殺の動機、目的が保険金の取得にあることが認められるときであっても、免責の対象とはしない旨の約定と解するのが相当である。 そして、このような内容の特約は、当事者の合意により、免責の対象、範囲を一定期間内の自殺による死亡に限定するものであって、商法の上記規定にかかわらず、有効と解すべきである。
 このような見地に立って本件をみるに、前記の事実関係によれば、Bが自殺したのは、平成6年契約の責任開始の日から1年を経過した後であるから、1年内自殺免責特約により、上記特段の事情がない限り、商法の上記規定の適用が排除され、保険者は、平成6年契約に基づく死亡保険金の支払義務の免責がされないものというべきところ、当時、Bが経営する上告会社の経営状態は相当厳しい状況にあり、上告会社及びBは、前記のとおり、多数の保険会社との間で、多額の保険金額の本件各生命保険契約等を締結していたこと等が明らかであるが、その自殺に至る過程において犯罪行為等が介在した形跡はうかがわれず、その他公序良俗にかかわる事情の存在もうかがえない本件においては、その自殺の主たる動機、目的が、保険金を保険金受取人である上告人らに取得させることにあったとしても、上記特段の事情があるとはいえないものというべきである。
 そうすると、上告会社の平成6年契約に基づく主契約の死亡保険金の請求については、1年内自殺免責特約により、商法680条1項1号の規定の適用が排除されるものと解すべきである。」

事業協力等の協議のための基本合意中の合意の目的に反する第三者と協議を行わないこととするとの条項の効力

企業間の事業協力や経営統合、M&A等をめぐり、A社がB社との協議をしつつ、より、A社の利益になるとの経営判断の成り立つC社との協議を進めるということはありうることであるが、これを防止するために、A社とB社との間で、事業協力等の基本合意の目的に反する第三者との協議を禁ずる合意をする場合がある。このような合意の有効性をめぐり、協議禁止の仮処分を申請した例について、最高裁判所は、次のように判示して、協同事業化に関する基本合意中の基本合意の目的と抵触する他者との協議等禁止条項の効力に関し、その有効性を認めたが、協議禁止の仮処分については保全の必要性なしとして却下した(最決平成16年8月30日民集58巻6号1763頁 判時1872号28頁)。

この事件は、わが国有数の金融機関同士の訴訟として、耳目を集め、その後の訴訟事件も含め、ネット上でもいくつかの解説が見られる。
http://www.e-hoki.com/tax/comp/2923.html
http://www.makino-law.jp/ronbun/hanrei/hanrei-5.htm
など。

2007.09.22

甲乙二つの抵当権が順次設定されていた場合の先順位甲抵当権の消滅と法定地上権成立要件

土地建物が同一人所有者の場合に、その一方にのみ抵当権を設定し、競売によって土地建物の所有者が別人に帰するに至った場合、法定地上権が成立するが、甲抵当権設定時には、土地建物は別人の所有にあり、その後に、同一人に帰した後、乙抵当権が設定された場合で、甲抵当権が消滅後に乙抵当権が実行された場合に、法定地上権が成立するか。

この点につき最高裁判所は、法定地上権の成立を認めた(最判平成19年7月6日金融・商事判例1271号33頁

 民法388条は,土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定され,その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており,競売前に消滅していた甲抵当権ではなく,競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。原判決が引用する前掲平成2年1月22日第二小法廷判決は,競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり,競売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない。

抵当権に基づく妨害排除請求

不動産に抵当権設定がなされた後、抵当権設定者(不動産の所有者)が、当該不動産を他人に賃貸借などして、占有させる場合がある。このような場合、かつては、抵当権詐害目的の詐害的な短期賃貸借については、これを解除請求することで、競売後に短期賃貸借として保護されないこととし、その後短期賃貸借保護制度を廃した現行法では、賃貸借期間の長短に拘らず、対抗関係により引渡命令等により、明渡を請求することができる。また、しかしながら、抵当不動産の占有自体が、抵当物件の評価を下げ、競売による換価自体が阻害されるような場合に、抵当権自体による賃借人等の占有の排除ができるかについては、論点が残っていた。

1 旧判例の立場
  妨害排除請求 不可
● 抵当権者は、民法395条但書の規定により解除された短期賃貸借ないしこれを基礎とする転貸借に基づき抵当不動産を占有する者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として又は抵当権設定者の所有物返還請求権の代位行使として、その明渡しを求めることはできない(最判平成3年3月22日民集45巻3号268頁)。 なお傍論で抵当権自体に基づく妨害排除請求も認める。
 
2 判例変更
  代位行使認める。
  ● 第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる (最判平成11年11月24日民集第53巻8号1899頁)。

3 判例発展
直接請求認める(最判平成17年3月10日民集50巻2号356頁 判時1893号24頁)。
①占有権の設定に抵当権妨害目的が認められ
②その占有により、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済権の行使が困難となる
場合に、占有が不動産所有者との関係で、適法である場合であっても、妨害排除請求としての占有状態の排除を認め、抵当権者が直接自己に対する抵当不動産の明渡請求をすることを認めた。但し、抵当権者は賃料相当の損害を被るものではないとして、損害賠償請求は否定した。

4 民事執行法による保全処分との関係
  なお、民事執行法にもとづく保全処分においては、従来から、このような場合の占有排除を認めていた。3の判例は、これを本訴において認めた点に意義がある。

2007.09.21

自動継続定期預金の消滅時効

銀行に自動継続の定期預金をする場合に、預金したまま時間が経過していることがあるが、このような預金の預金払戻請求権の時効が問題となった例があった。

原審は、「自動継続定期預金においては、預金者は、預金契約締結後最初に到来する満期日(以下「初回満期日」という。)までに継続停止の申出をすることにより、初回満期日以降、預金払戻請求権を行使することができる。そのように預金者の一方的意思表示によって排除できる自動継続に係る弁済期の定めは、消滅時効の進行を妨げる法律上の障害とはならないものというべきである。したがって、上告人の本件預金の払戻請求権の消滅時効は、初回満期日である昭和○○年○月○日から進行するものと解するのが相当である。そうすると、その10年後である平成○年○月○日の経過により、本件預金の払戻請求権の消滅時効が完成したものと解される。」とした。
これに対し、最高裁判所は(最判平成19年6月7日裁判所時報1437号18頁)、
「自動継続定期預金契約における自動継続特約は、預金者から満期日における払戻請求がされない限り、当事者の何らの行為を要せずに、満期日において払い戻すべき元金又は元利金について、前回と同一の預入期間の定期預金契約として継続させることを内容とするものである(最高裁平成11年(受)第320号同13年3月16日第二小法廷判決・裁判集民事201号441頁参照)。消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)が、自動継続定期預金契約は、自動継続特約の効力が維持されている間は、満期日が経過すると新たな満期日が弁済期となるということを繰り返すため、預金者は、満期日から満期日までの間は任意に預金払戻請求権を行使することができない。したがって、初回満期日が到来しても、預金払戻請求権の行使については法律上の障害があるというべきである。」として、自動継続後の預金払戻請求には、消滅時効の進行を妨げる法律上の障害があるとした。
そして、自動継続後に継続停止ができる点については、「自動継続特約によれば、自動継続定期預金契約を締結した預金者は、満期日(継続をしたときはその満期日)より前に継続停止の申出をすることによって、当該満期日より後の満期日に係る弁済期の定めを一方的に排除し、預金の払戻しを請求することができる。しかし、自動継続定期預金契約は、預金契約の当事者双方が、満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであることは、その内容に照らして明らかであり、預金者が継続停止の申出をするか否かは、預金契約上、預金者の自由にゆだねられた行為というべきである。したがって、預金者が初回満期日前にこのような行為をして初回満期日に預金の払戻しを請求することを前提に、消滅時効に関し、初回満期日から預金払戻請求権を行使することができると解することは、預金者に対し契約上その自由にゆだねられた行為を事実上行うよう要求するに等しいものであり、自動継続定期預金契約の趣旨に反するというべきである。そうすると、初回満期日前の継続停止の申出が可能であるからといって、預金払戻請求権の消滅時効が初回満期日から進行すると解することはできない。」

として、自動継続定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は、自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行するものとした。

2007.09.20

マンション管理費・修繕積立金支払請求権の消滅時効

マンション管理費や修繕積立金の未払分につき、滞納期間が長期にわたっている場合が時折みられる。
このような場合に、管理費や修繕積立金の支払請求権について、消滅時効が問題になるケースがある。
民法は、債権一般の消滅時効としては時効期間を10年と定めているが(民法167条)、これに対し、民法169条は、「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。」として、5年の短期消滅時効を定めている。
そこで、管理費や修繕積立金の支払請求権の時効期間が、10年なのか、5年なのかについて、従来見解が分かれていた。
この点について、最高裁判所は、下記のとおり、消滅時効期間を5年とした。


最判平成16年4月23日民集58巻4号959頁 判時1861号38頁本件の管理費等の債権は、前記のとおり、管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対して発生するものであり、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような本件の管理費等の債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権として、民法169条所定の債権に当たるものというべきである。 その具体的な額が共用部分等の管理に要する費用の増減に伴い、総会の決議により増減することがあるとしても、そのことは、上記の結論を左右するものではない。

2007.09.18

取得時効と登記の判例

取得時効と登記に関しては、
「時効完成後の第三者に対しては、時効取得者は、登記なくして対抗できない」とするのが、判例の原則であった。
また「時効完成前の第三者との関係は、当事者関係なので、時効取得はこの第三者に主張できる。」
そして、「時効の起算点を動かすことはできない。」
「但し、時効完成後の第三者が登記手続を経た時点から、再度時効期間が経過した場合は、占有者は新たな時効取得を主張できる。」等の判例原則もある。

下記 1は、再度の時効取得に関する、2は、時効完成後の第三者が背信的悪意者である場合に関する最近の判例。
司法試験等の勉強の際の定番論点に関する最近の判例であることから紹介。

1 最判平成15年10月31日判時1846号7頁
取得時効の援用により不動産の所有権を取得してその旨の登記を有する者は、当該取得時効の完成後に設定された抵当権に対抗するため、その設定登記時を起算点とする再度の取得時効の完成を主張し、援用をすることはできないとされた例

2 最判平成18年1月17日民集60巻1号27頁 判時1925号3頁
① 実体上、物権変動があった事実を知る者において、同物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであって、このような背信的悪意者は、民法177条に言う第三者には当たらない(従来の判例理論のとおり)。
② 甲が時効取得した不動産について、その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権の移転登記を了した場合において、乙が、当該不動産の譲渡を受けた時点において、甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており、甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存するときは、乙は背信的悪意者にあたる。
とされた例

2007年8月後半から9月前半のお仕事

8月には、日弁連交通事故相談センター東京都支部の夏合宿、同での相談者研修講師の仕事があった。
東京都支部夏合宿の翌日が京都での司法研修所卒業20周年の集まり。
9月に 横浜弁護士会での判例研究会の講師という分不相応な役割。
大学の同級生や、なんと、司法修習生時代、検察修習で教えを受けた某地検次席が退官された後、公証人を経て、弁護士をされているのだが、わざわざおいでいただき、私の話を聞いていただいた。汗顔の至りである。内容は、この4、5年の重要判例の紹介。しかし、こうしてみると、昭和40年代に匹敵するような重要判例が数々出ているような気がする。このブログでも項を改めて、ひとつひとつ紹介していきたいと思う。
司法修習生が、選択型修習ということで、日常的には事務所にはいないのだが、選択のコマがないときは事務所にいるので、適宜、課題を与えている。今日は、国家賠償請求に関する近時の重要判例について、評釈等を調べてもらった。

2007.09.17

借地権売買における瑕疵担保責任

近時、借地権売買において、土地の瑕疵を売主である旧借地人が負担するべきかが争点となる事案があった。

借地権売買といえども、有償取引であり、有償契約の総則的意味のある民法の売買の規定の適用もあり、瑕疵担保責任の規定(民法570条)が適用あるとの主張も時折みられるところである。

しかしながら、この点について、判例(最高平成3年4月2日判時1386号91頁)は、次のように述べて、借地権の売主の土地の瑕疵担保責任を否定した。

「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的物とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことが後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。」

「けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃借権の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきであって、右敷地の欠陥をもって、賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によて取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対し、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。」

「なお、右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではないこと(民法569条参照)との対比からしても明らかである。」

すなわち、借地権売買の場合における土地の瑕疵・欠陥については、賃貸人が修繕義務または担保責任を負い、借地権の売主は土地については物の瑕疵についての担保責任を負わないとしている。
これに対して、土地の数量不足その他の借地権の権利自体の瑕疵の場合に借地権売主が担保責任を負うのは当然と考えられる。
まとめると
物の瑕疵    賃貸人が負担
権利の瑕疵   借地権売主が負担
が原則と考えるべきか。

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