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2007.09.22

甲乙二つの抵当権が順次設定されていた場合の先順位甲抵当権の消滅と法定地上権成立要件

土地建物が同一人所有者の場合に、その一方にのみ抵当権を設定し、競売によって土地建物の所有者が別人に帰するに至った場合、法定地上権が成立するが、甲抵当権設定時には、土地建物は別人の所有にあり、その後に、同一人に帰した後、乙抵当権が設定された場合で、甲抵当権が消滅後に乙抵当権が実行された場合に、法定地上権が成立するか。

この点につき最高裁判所は、法定地上権の成立を認めた(最判平成19年7月6日金融・商事判例1271号33頁

 民法388条は,土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定され,その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており,競売前に消滅していた甲抵当権ではなく,競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。原判決が引用する前掲平成2年1月22日第二小法廷判決は,競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり,競売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない。

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