マンション管理費・修繕積立金支払請求権の消滅時効
マンション管理費や修繕積立金の未払分につき、滞納期間が長期にわたっている場合が時折みられる。
このような場合に、管理費や修繕積立金の支払請求権について、消滅時効が問題になるケースがある。
民法は、債権一般の消滅時効としては時効期間を10年と定めているが(民法167条)、これに対し、民法169条は、「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。」として、5年の短期消滅時効を定めている。
そこで、管理費や修繕積立金の支払請求権の時効期間が、10年なのか、5年なのかについて、従来見解が分かれていた。
この点について、最高裁判所は、下記のとおり、消滅時効期間を5年とした。
最判平成16年4月23日民集58巻4号959頁 判時1861号38頁本件の管理費等の債権は、前記のとおり、管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対して発生するものであり、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような本件の管理費等の債権は、基本権たる定期金債権から派生する支分権として、民法169条所定の債権に当たるものというべきである。 その具体的な額が共用部分等の管理に要する費用の増減に伴い、総会の決議により増減することがあるとしても、そのことは、上記の結論を左右するものではない。
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