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2007.10.13

共同相続人間の相続人の地位不存在確認

被相続人死亡後、相続人の一人(被相続人の子の一人)Yが、遺言書を隠匿し、又は破棄したとして、数名いる他の相続人の一人Xが、この行為は民法891条5号所定の相続欠格事由に当たると主張し、Yのみを被告として、Yが被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴訟を提起したとの事案で、Yは、Yだけではなく、他の相続人をも被告とすべきであるとして、訴訟手続を争った。この事案について、
最判平成16年 7月 6日民集 58巻5号1319頁 判時 1883号66頁は、次のように判示して、Yの主張を認め、このような場合は、固有必要的共同訴訟であり、Xは、相続人全員を被告として訴訟すべきであるとした。すなわち、「被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は、遺産分割をすべき当事者の範囲、相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。そして、共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、当該他の共同相続人に相続欠格事由があるか否か等を審理判断し、遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより、遺産分割審判の手続等における上記の点に関する紛議の発生を防止し、共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。このような上記訴えの趣旨、目的にかんがみると、 上記訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり、いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。」。

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