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2008.02.10

賃貸人からする期間途中解約合意の有効性(その2)

賃貸人からする期間途中解約合意の有効性と題して、中途解約合意の有効性を否定する裁判例と6ヶ月程度の期間を予告期間とした場合の中途解約合意の場合についての裁判規範としては、正当事由の存在を前提に解約の効力が認められるであろうこと、但し、中途解約の場合、期間満了の場合や期間の定めない場合よりも、正当事由の解釈がより一層厳格とされるべきではないかと述べた。
また、新たに賃貸借契約を作成する場合において、賃貸人からする6ヶ月の予告期間を入れての中途解約合意を入れることの妥当性については、もとより、裁判規範としては、無効とは解されず、上述のとおり正当事由の存在を前提として有効性が認められるものの、定期借家契約との対比等からもかような合意をすることは妥当とはいえないのではとの趣旨を述べた。
近時、勤務弁護士から、賃貸人側からの契約案としては、賃貸人からする6ヶ月の予告期間を入れての合意解約条項を入れるべきではないかとの問題提起があった。確かに、かような規定を入れておけば、正当事由が認められる場合に中途解約ができ、一見便宜かもしれない。しかし、普通建物賃貸借においては、かような賃貸人からする中途解約申入れをした場合、結局は正当事由の存否をめぐる争いが生じることになり、逆に賃借人が争わない場合にはそもそも賃借人は合意解除に応じるであろうから、このような規定を入れる積極的意味はないように感じている。
また、中途解約時に正当事由が具備されることには難易度が高いことを前提に考えると、賃貸人からする中途解約による契約終了の場面は相当程度に限定されると思われ、賃貸人側に判断の誤りを誘発する可能性も懸念されることから、やはり、かような条項は賃貸人側として提案する場合にもあえて入れるべきではないのではないだろうか。
もっとも、現実にかような合意をした場合にこれを無効と解するものではないことについては、前述のとおりである。

ところで、高齢者の居住の安定確保に関する法律に定める終身建物賃貸借制度においては、62条において、「認可事業者(≒賃貸人)による終身建物賃貸借の解約の申入れ」として、「終身建物賃貸借においては、認可事業者は、次のいずれかに該当する場合に限り、都道府県知事の承認を受けて、当該賃貸借の解約の申入れをすることができる。」として、
 一 認可住宅の老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、家賃の価額その他の事情に照らし、当該認可住宅を、第五十八条第二号に掲げる基準等を勘案して適切な規模、構造及び設備を有する賃貸住宅として維持し、又は当該賃貸住宅に回復するのに過分の費用を要するに至ったとき。
 二 賃借人(一戸の認可住宅に賃借人が二人以上いるときは、当該賃借人のすべて)が認可住宅に長期間にわたって居住せず、かつ、当面居住する見込みがないことにより、当該認可住宅を適正に管理することが困難となったとき。」
に同条2項により、「借地借家法第28条の規定(正当事由要件の規定)は、前項の解約の申入れについては、適用しない。」としており、一定の場合の賃貸人からする中途解約を認めている。
しかし、これは高齢者の居住の安定確保という特殊な目的から、賃貸人からの中途解約を認め、かつ、正当事由要件を緩和したものであり、かつ、中途解約の場合に都道府県知事の承認を要することとして濫用にも一定の歯止めをかけているものであって、同法の存在によっても一般的な契約で賃貸人からする中途解約契約合意を予め入れておくことを妥当とすべきものではないと考える。

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