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2010.11.01

借家契約の更新料条項の有効性が肯定された例(大阪高裁判決)

消費者契約法10条

「「民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、」(前段)
「民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」(後段)
は、無効とする。 」
とする。

民法90条は、

「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」

としている。


借家関係で特に関東地方では授受されることが多いといわれている更新料について、最近、この二つの観点から、無効を主張して、賃借人から返還を求めたり、賃貸人からの支払い請求を拒んだりするとの紛争事例があり、昨年(平成21年)には、大阪高等裁判所が更新料無効判決と有効判決の二つの相反する判決をなしている。また、平成22年にも大阪高等裁判所が無効判決をなしている。以下では、平成21年の有効判決を紹介する。

大阪高判平成21年10月29日判時 2064号65頁

本件建物の賃借人が,賃貸人に対し,賃貸借契約において定められた更新料支払条項は,消費者契約法10条ないし民法90条に反し,無効であるとして,不当利得返還請求権に基づき,過去3回の更新時において支払った更新料合計26万円及び年5分の割合による利息の支払いを求めた事案(契約の基本的内容 ①契約期間 平成12年12月1日から平成14年11月30日まで、② 家賃及び共益費 家賃月額5万2000円,共益費月額2000円③ 更新料 契約更新に際して,旧賃料の2.00か月分を支払う。)。

1審(大津地判平成21年 3月27日判時 2064号70頁)は,本件賃貸借契約において定められた更新料支払条項は有効であるとして控訴人の請求を棄却した。

控訴審でも、以下のように消費者契約法10条の該当性と民法90条の該当性を否定し、更新料合意を有効としたうえで、その旨判示して、控訴を棄却した。すなわち、

1 消費者契約法10条該当性について
「 消費者契約法10条は,「民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。」ものと定めているところ,そもそも,賃借人は,賃貸借契約を締結することによって,借地借家法28条に基づき,期間満了後も原則的に賃貸借契約の更新を受けることができるのであって,その際に,当然に何らかの金銭的給付を義務付けられるものではないことからすれば,本件更新料支払条項のように,賃貸借契約の更新に伴って更新料の支払いを義務付ける旨の合意は,賃借人の義務を加重する特約であり,消費者契約法10条前段(民法,商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項)に該当するものと解するのが相当である。」
として、10条前段該当性をまず認めたものの、10条後段該当性については、次のようにこれを否定した。

①10条後段の意義
「 次に,本件更新料支払条項が,消費者契約法10条後段(民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの)に該当するか否かについて検討すると,同法の目的が,「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ,…消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とする…ことにより,消費者の利益の擁護を図」ろうとするものとされていること(同法1条参照)に照らせば,「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」契約条項とは,消費者と事業者との間にある情報,交渉力の格差を背景にして,事業者の利益を確保し,あるいは,その不利益を阻止する目的で,本来は法的に保護されるべき消費者の利益を信義則に反する程度にまで侵害し,事業者と消費者の利益状況に合理性のない不均衡を生じさせるような不当条項を意味するものと解される。」

②更新条項の趣旨

 ア 賃借権設定の対価性
「前記認定事実によれば,控訴人は,本件賃貸借契約を締結したことによって,本件賃貸借契約に基づく賃借人としての地位を取得したものと認められるところ,当初の賃貸借期間を2年とした上で,約4か月分の賃料に相当する20万円の礼金の支払義務があるものとされていることからすれば,上記礼金の主な趣旨は,賃貸借期間を2年とする賃借権の設定を受けた賃借人としての地位を取得する対価と解するのが相当である。」

イ 投下資本回収の点からの合理性
そもそも,本件のような共同住宅の賃貸人は,事業経営者として,賃貸物件の建築費用等について相当額の資本を投下して賃貸事業を行うものである(本件においても,賃貸人である被控訴人は,本件建物に抵当権を設定していることが認められるから[甲3・2頁],本件建物の賃貸事業を行うにあたり,建築費用等を借り入れて本件建物を建築したことが窺われる。)ところ,当然のことながら,最終的には投下資本の回収を超える収益の確保を目的とする以上,その事業計画においては,当該建物の規模・設備状況・築年数,当該建物が存在する地域性,賃料の近隣相場のほか,原状回復(リフォーム)及びメンテナンスに要する諸費用,賃貸借契約の回転率,空室率,賃料不払い等のリスク要因も踏まえながら,当該賃貸物件の提供に対する収益上可能かつ最適の対価を設定することになる。
 そして,上記対価の設定に際しては,賃借人が短期間のうちに退去することもあれば,何度も更新を繰り返して長期にわたって居住することも想定される賃貸用共同住宅の居室という性質にかんがみると,賃貸人としては,賃借人との間で何らの対価も取得することなく賃貸借契約の更新を重ねるよりは,短期間に異なる賃借人との間で新規の賃貸借契約を繰り返すことによってその都度礼金を取得することの方が経営的に有利であるが,それを実現しようとしても,賃貸人において賃貸借契約の更新を拒絶することは借地借家法28条によって基本的に認められないことから,その代わりに,賃借人からは賃貸借期間の長さに応じた賃借権設定の対価を受け取るものとし,その具体的方法として,賃貸借契約の締結時点において長期間の賃貸借契約を想定した多額の礼金を取得するのではなく,まずは比較的短い賃貸借期間に相応した賃借権設定の対価としての礼金(本件では当初の賃貸借期間を2年として20万円の礼金)の支払いを受けた上で,将来的に賃貸借契約が更新された場合には,結果的に期間の長い賃借権を設定したことになるとして,賃借権設定の対価の追加分ないし補充分として一定程度の更新料の支払いを受ける旨をあらかじめ賃借人との間で合意しておくことも,賃貸事業の経営において効果的な投下資本の回収及び利益追求の手段として必要かつ合理的な態度であることは否定できず,また,このように,賃借権を設定するにあたってその期間の長さに応じた対価を取得することが営利事業の方法として一概に社会正義に反するとはいえないというべきである。
 したがって,本件更新料は,本件賃貸借契約に基づく賃貸事業上の収益の一つして,賃借人である控訴人に設定された賃借権が本件賃貸借契約の更新によって当初の賃貸借期間よりも長期の賃借権になったことに基づき,賃貸借期間の長さに相応して支払われるべき賃借権設定の対価の追加分ないし補充分と解するのが相当であり,本件更新料支払条項は,その支払義務及びその金額についてあらかじめ合意しておいたものと認められる。」

ウ 不当条項性
「消費者契約法10条後段によれば,消費者にとって不利益な契約条項を定めることによって,消費者が本来有しているはずの権利ないし法的利益を奪ったり,あらかじめ制限するというだけでなく,それによって不利益を免れる事業者と不利益を被る消費者との間に合理性のない不均衡を生じさせるときは,このような契約条項については,消費者にとって信義則に反する程度にまで一方的に不利益な条項いわゆる不当条項として無効にすべきものと解されるが,単に消費者にとって不利益というだけで,事業者の経済的利益を図った契約条項を一切無効とするものでないことは明らかである。
 他方,消費者契約において,消費者にとって不利益な契約条項が存在する場合,それが契約当初から定められていた(契約書に明記され,その旨説明を受けていた)としても,事業者に比べて経験に乏しく情報力も劣るのが通常である一般的な消費者とすれば,契約の締結段階において,将来的に起こり得る好ましくない事態を想定してまで契約条項の当否を検討することは容易ではなく,具体的な場面において当該契約条項が実際に適用されるまでは,当該契約条項によって自らに生じる不利益の程度を認識することが困難であることも少なくないのであるから,消費者にとって不利益な契約条項が無効と解すべき不当条項であるか否かは,消費者に生じ得る具体的な不利益の程度だけでなく,当該契約条項が発動した場合に生じる事態の予測可能性を併せ考慮して判断する必要があるというべきである。」
「そのように考えると,賃貸人が,賃借人との間で賃貸借契約を締結するにあたり,更新料の支払義務及びその金額についてあらかじめ賃貸借契約書及び重要事項説明書に明記さえすれば,どのような金額の更新料であっても取得することが許されるものと解すべきではない。なぜなら,例えば,2年間の賃貸借契約を締結し,4か月分の礼金を支払ったにもかかわらず,2年後の更新時において,賃貸借契約を従前どおり2年更新する場合に4か月分の更新料を支払う(あるいは,1年更新する場合に2か月分の更新料を支払う)というのであれば,賃借人としては,賃貸借契約の更新という名の下で,新規の賃貸借契約を締結して礼金を支払わされるのと実質的に変わらないことになり,賃貸借契約を締結したことによって,賃借人は,賃貸人に正当な事由のない限り,事実上永続的に賃貸借契約を継続することができるという借地借家法28条の趣旨を没却することになる上,2年後(あるいは,1年後)のこととはいえ,将来的に更新するか否かが厳密には確定していない当初の段階において,賃借人が,借地借家法28条の趣旨に反する程度の不利益が生じるか否かについてあらかじめ検討することは通常困難というべきだからである。」
「もっとも,賃貸借契約に更新料支払条項が設定されている場合において,更新料そのものは賃借人にとって不利益な負担金であるとしても,その一方で,更新料の支払いにより,借地借家法26条所定の法定更新とは異なり,期間の定めのある賃貸借契約として更新されることや,更新料支払条項が設定された賃貸物件については,更新料の負担がある反面,月々の賃料が抑えられていることが多いものと考えられる(言い換えれば,更新料の設定が法的に許されないとすれば,月々の賃料が増額される可能性が高くなり,当初に支払うべき礼金が高額化する可能性もある[弁論の全趣旨]。)ことのほか,本件賃貸借契約の第16条3項のように賃借人が中途解約する場合の予告期間ないし猶予期間が民法617条1項2号及び618条所定の3か月よりも短縮されることが多いことなどからすれば,賃借人(特に,比較的短期間で転居することが予想される賃借人)にとって有利な側面が存在することは否定できないというべきである。」
「したがって,前記認定判示のとおり,賃貸人が,賃貸借契約を締結するにあたり,賃借人に対し,賃貸借期間の長さに応じた賃借権設定の対価の支払いを求めようとすることには一定の必要性と合理性が認められ,法的に許されないものでもない(賃借人としては,それに納得できないのであれば,契約を締結しなければよいのであって,これを契約条項の押し付けであるとは認められない。)ことを併せ考えると,更新料支払条項によって支払いを義務付けられる更新料が,賃貸借契約の締結時に支払うべき礼金の金額に比較して相当程度抑えられているなど適正な金額にとどまっている限り,直ちに賃貸人と賃借人の間に合理性のない不均衡を招来させるものではなく,仮に,賃借人が,賃貸借契約の締結時において,来るべき賃貸借契約の更新時において直面することになる更新料の支払いという負担について,それほど現実感がなかったとしても,そもそも更新料を含めた負担額を事前に計算することが特段困難であるとはいえないのであるから,更新料の金額及び更新される賃貸借期間等その他個別具体的な事情によっては,賃借人にとって信義則に反する程度にまで一方的に不利益になるものではないというべきである。」


③ 本件でのあてはめ
エ 実質賃料等からの検討
「本件賃貸借契約の契約締結時に定められた賃貸借期間は2年であり,その際に支払うべき礼金は20万円(当時の月額賃料5万2000円の4か月分弱)とされ,2年後に賃貸借期間を2年更新する場合の更新料を旧賃料の2か月分とし,その後も同様とする旨の本件更新料支払条項が定められたというのである。」
「そうすると,本件更新料支払条項により,賃貸人である被控訴人としては,賃貸借期間の長さに相応した賃借権設定の対価を取得することができる一方で,賃借人である控訴人は,2年後の更新時において,賃貸借期間をさらに2年延長するにあたり,旧賃料の2か月分の更新料の支払義務が生じることになるものの,支払うべき更新料は,礼金よりも金額的に相当程度抑えられており,適正な金額にとどまっているということができるのであって,賃貸借契約書(甲1)を精査しても,賃貸借契約の更新という名の下で実質的に新たな賃貸借契約を締結させられるような事情があったとは到底認めることができない。そして,仮に,本件更新料(10万4000円)を事実上の賃料として計算すれば,実質的な月額賃料は約5万6333円([10万4000円+5万2000円×24か月]÷24か月≒5万6333円)になるところ,賃貸借契約書(甲1)に記載された月額賃料である5万2000円と比較しても,その差額は1か月あたり5000円未満であって,更新料支払条項を設定したことによって上記程度の金額差が生じたからといって,名目上の賃料を低く見せかけ,情報及び交渉力に乏しい賃借人を誘引するかのような効果が生じたとは認められないというべきである。しかも,本件事案において,仮に,本件更新料が存在しなかったとすれば,月額賃料は当初から高くなっていた可能性があるところ,これと比較して,本件更新料が存在しなかったことの方が,果たして賃借人である控訴人にとって実質的に利益であったといえるのかは疑問である(上記のとおり,更新料支払条項が法的に許されないことになれば,月額賃料が増額される可能性が高くなるというのであるから,例えば,本件事案において,本件更新料が元々存在しなかったとしても,その分,月額賃料が5000円高くなっていたとすれば,全体的な負担はかえって重いことになる。)ことからすると,本件更新料支払条項が設定されていたことによって,賃借人である控訴人が,信義則に反する程度にまで一方的に不利益を受けていたということはできない。」
「 なお,控訴人は,複数の不動産仲介業者から多数の賃貸物件の紹介を受けた上,自らの希望その他様々な情報を総合的に検討した結果,本件建物を賃借することに決定したことが認められるから,このような事実に照らしても,控訴人と被控訴人との間の情報力及び交渉力について,控訴人が被控訴人から不当条項を押し付けられる程度にまで著しい格差があったとは到底認めがたいというべきである。」

オ 賃借人は更新料の趣旨を理解していたか。
「賃貸借契約書(甲1)及び重要事項説明書(甲3)によれば,更新によって賃貸借期間が2年延長される一方で,更新時に旧賃料の2か月分を支払う旨が明記されている上,証拠(甲20)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,本件賃貸借契約の締結時において,更新時に本件更新料の支払いが義務付けられており,礼金と同様,本件更新料が返還の予定されていないものであることについても認識していたことが認められるところであり,本件賃貸借契約の締結時において合意されていなかったものが後になって支払いを要求されたわけではなく,契約条項としてあらかじめ合意されていたものであることからすると,賃借人である控訴人としても,本件更新料が,賃借人である控訴人のために設定された賃借権が本件賃貸借契約の更新によって当初の賃貸借期間よりも長期の賃借権になったことに基づき,賃貸借期間の長さに相応して支払われるべき賃借権設定の対価の追加分ないし補充分であることを理解することが不可能ないし著しく困難であったとは認められない。そして,賃借人である控訴人が,本件更新料について,本件賃貸借契約が当初の賃貸借期間よりも長くなったことに伴って支払うべきものであるという認識を有していたのであれば,本件更新料の趣旨の理解として不十分であるとはいえず,それを超えて法的な見解に基づく説明を受けていなかったとしても,本件更新料支払条項を無効と解すべき程度まで本件更新料の趣旨について理解していなかったものということはできない。」

カ 中途解約の際に精算されないこととの関係
「控訴人は,本件更新料について,中途解約があった場合に精算されないことの不当性を主張するが,例えば,本来的には全額が返還されるべき敷金について,いわゆる敷引き条項によって返還を受けるべき金額が賃貸借契約の終了後まで確定せず,しかも,その控除分の明細及び具体的根拠が判然としないような場合は,敷金の返還を見込んでいた賃借人の合理的な期待に反するとして,敷引き条項の不当性を肯定する余地があるものの,本件更新料については,賃貸借契約書(甲1)及び重要事項説明書(甲3)において,本件更新料支払条項として月額賃料との比較をもって明確に記載されている上,前記オで認定したとおり,控訴人は,本件更新料が返還の予定されていないものであることを認識していたのであるから,中途解約をした場合に本件更新料の返還ないし精算を受けることができるという期待を抱いていたかのような主張をするのは,本件賃貸借契約の締結時における自己の認識と明らかに符合せず,到底採用することはできない。」
「 控訴人は,本件更新料支払条項について,控訴人が本件賃貸借契約を中途解約した場合に更新料を精算しないものとしていることは,いわば賃料の二重取りに該当するとして,控訴人にとって信義則に反する程度にまで一方的に不利益となる旨主張する。しかしながら,前記判示のとおり,本件更新料は,賃借人である控訴人に設定された賃借権が本件賃貸借契約の更新によって当初の賃貸借期間よりも長い賃借権になったことに基づき,賃貸借期間の長さに相応して支払われるべき賃借権設定の対価の追加分ないし補充分と解されるところ,実際,本件賃貸借契約の更新によって,借地借家法26条1項但書による期間の定めのない賃貸借契約ではなく,2年という明示された期間分延長された賃貸借契約になったのであるから,賃借人である控訴人としては,更新をした時点において,本件更新料という対価に相応した利益を確定的に得ているものと認められ,本件賃貸借契約の中途解約の理由がもっぱら賃借人である控訴人の自己都合であったこと(弁論の全趣旨)を併せ考えれば,本件更新料支払条項において,中途解約によって本件更新料の精算を行わないものとされていたからといって,賃借人である控訴人が信義則に反する程度にまで一方的に不利益を受けたものではないというべきである。」

2 民法90条(公序良俗違反)該当性について
「控訴人は,本件更新料には合理的な対価性がなく,月額賃料との比較及び中途解約の場合に精算が否定されていることなどを併せ考えれば,本件更新料支払条項は暴利行為であり,民法90条に反し,無効である旨主張する。」
「しかしながら,控訴人は,通勤に便利な滋賀県野洲市(当時は野洲町),近江八幡市あるいは栗東市等において住居としての賃貸物件を探していたが,適切な賃貸物件(月額賃料5万円程度)が見つからなかったところ,本件賃貸借契約の仲介業者になった湖東開発株式会社(以下「湖東開発」という。)から本件建物を含む複数の賃貸物件の紹介を受け,自らの希望その他様々な情報を総合的に検討した結果,最寄り駅(JR野洲駅)から近い距離にある本件建物を賃借することに決定したというのであり,前記認定事実のとおり,賃貸借契約書(甲1)には本件更新料支払条項が明記されているだけでなく,重要事項説明書(甲3)にも同様の記載がなされていることからすれば,宅地建物取引業者であった湖東開発(甲1,3,弁論の全趣旨)からも,本件更新料については,その金額及び支払時期のほか,中途解約をしたとしても返還ないし精算が予定されていないものであることの説明を受けていたことが推認されるというべきである。」
「そうすると,控訴人が,本件賃貸借契約を締結した当時,24歳の会社員であったことを併せ考えれば,本件更新料支払条項が控訴人の無知あるいは錯誤等に乗じて設定されたものとは到底認められないところ,前記判示のとおり,本件更新料の趣旨及び金額(特に礼金及び月額賃料との比較)等に照らせば,本件更新料支払条項によって,賃借人である控訴人が信義則に反する程度に一方的な不利益を受けることになるものではないから,本件更新料支払条項が暴利行為に該当するものと認める余地はなく,民法90条に反して無効と解することはできない。」

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