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2011.02.25

Xの友人Aが、Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いてXと飲酒をした後、寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し、追突事故を起こした場合において、Bは自賠法3条の運行供用者にあたるか。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その3))

【1】最判平成20年9月12日交民41巻5号1085頁 判時2021号38頁
Xの友人Aが、Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いてXと飲酒をした後、寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し、追突事故を起こした場合において、Bは自賠法3条の運行供用者にあたるか。


事案および判旨 (紹介済み。)


② 裁判経過

1審 名古屋一宮支判平成18年 9月12日交民 41巻5号1088頁
差戻前控訴審 名古屋高判平成19年 3月22日

⇒Bの運行供用者責任について(否定)

BはAとは面識もなく、Aの存在自体認識していなかったところ、使用借人であるXを介して、XがAに本件車の運転を依頼し、あるいはその運転を許容してはじめて、Aの運転する本件車に対する運行支配を及ぼすことが可能となり、運行供用者ということができる。
AがXの知人であること、Aは同人宅に帰宅した後にはXに本件車を返還する意思があったこと等の事実に照らしてみても、XにはAに対して本件車の運転を依頼する意思がなく、Xは泥酔していて意識がなかったため、Aが本件車を運転するについて指示はおろか運転していること自体を認識しておらず、また、Aは同人宅に帰宅するために本件車を運転していたに過ぎないことなどから、Xの本件車に対する運行支配はなかったのであるから、したがってまた、Xを介して存在していたBの本件車に対する運行支配も本件事故時には失われていたというほかない。


上告審 最高裁判所平成20年 9月12日判決判時2021号38頁

⇒Bの運行供与者性について(肯定)

ⅰ Xは実家に戻っているときにはBの会社の手伝いなどのために本件自動車を運転することをBから認められていたこと,
ⅱ Xは,親しい関係にあったAから誘われて,午後10時ころ,実家から本件自動車を運転して同人を迎えに行き,電車やバスの運行が終了する翌日午前0時ころにそれぞれの自宅から離れた名古屋市内のバーに到着したこと,
ⅲ Xは,本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて,Aと共にカウンター席で飲酒を始め,そのうちに泥酔して寝込んでしまったこと,
ⅳ Aは,午前4時ころ,Xを起こして帰宅しようとしたが,Xが目を覚まさないため,本件自動車にXを運び込み,上記キーを使用して自宅に向けて本件自動車を運転したこと
ⅴ Xによる上記運行がBの意思に反するものであったというような事情は何らうかがわれない。
 
(まとめ)
これらの事実によれば,Xは,Bから本件自動車を運転することを認められていたところ,深夜,その実家から名古屋市内のバーまで本件自動車を運転したものであるから,その運行はBの容認するところであったと解することができ,また,Xによる上記運行の後,飲酒したXが友人等に本件自動車の運転をゆだねることも,その容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきである。
そして,Xは,電車やバスが運行されていない時間帯に,本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて泥酔したというのであるから,Aが帰宅するために,あるいはXを自宅に送り届けるために上記キーを使用して本件自動車を運転することについて,Xの容認があったというべきである。そうすると,BはAと面識がなく,Aという人物の存在すら認識していなかったとしても,本件運行は,Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり,Bは,客観的外形的に見て,本件運行について,運行供用者に当たると解するのが相当である。

差戻後 控訴審判決 名古屋高等裁判所平成19年3月19日 交民41巻5号【2】

⇒ 他人性(否定)
Aによる本件運行は,Bの容認の範囲内にあったと見られるから,Bも,本件運行について運行供用者に当たるとはいえるが,Bによる本件運行に対する支配は,あくまでXによるAに対する本件自動車の使用の容認・許諾を介するものであって,間接的,潜在的,抽象的であるといわざるを得ない。これに対し,Xによるそれは,Aの本件自動車の運転を容認することによって同人に同車の運転をゆだねたと評価できるものであるから,Bによるそれと比較して,より直接的,顕在的,具体的であったといえる。
 このような本件自動車の具体的な運行に対する支配の程度・態様に照らせば,Xは,運行供用者に該当し,かつ,同じく運行供用者に該当するBよりも,運行支配の程度態様がより直接的,顕在的,具体的であったから,Bに対する関係において法3条にいう「他人」に当たらないと解するのが相当である。

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