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2011年2月

2011.02.26

AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか(その4)。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その8))

③ 検討

(1)被害者側の過失論

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる(民法722条2項)。
民法722条2項の被害者の過失には、 被害者本人の過失のみならず、被害者側の過失も含む(最高裁昭和34年11月26日判決判時206号14頁【34】)。

(2)被害者側の過失の従来の考え方
A 被害者と被用者・使用者の関係にある者である場合
  民法715条(使用者責任)の裏返しのような考え方
  使用者が加害者側にたった場合、被用者の過失について責任を負わされるのであるから、使用者が被害者側にたった場合も過失相殺においては、同様に被用者の過失について相応の負担をするのが公平であり、被用者の過失を被害者側の過失として斟酌するべき。

B 被害者と身分上ないしは生活上一体をなすと見られるような関係にある場合
ア 肯定判例
 ⅰ 夫婦 最判昭51年3月25日 民集30巻2号160頁 【35】
(夫の運転する自動車に同乗する妻が第三者と夫の過失の競合による交通事故で負傷した事例)
ⅱ 内縁の夫婦 最判平成19年4月24日判時 1970号54頁 【36】

イ 否定判例
ⅰ 職場の同僚 最判昭和56年2月17日 判時996号65頁【37】
 ⅱ 恋愛関係 最判平成9年9月9日 判時 1618号63頁 【38】

(3)最高平成20年7月4日判決の「被害者側の過失論」

ⅰ 従来の判例は、「財布は一つ」=「身分上、生活関係上、一体となすと見られるような関係」といえる場合に「被害者側の過失」を認めている。
ⅱ 本件では、ともに暴走行為を行った に過ぎず、「財布は一つ」とまではいえない。

本件での特殊事情   → 単なる同乗者ではない。
本件事故発生時点ではたまたまAが運転しておりBは同乗者にすぎないが、 B自身も、交代運転していた時間帯もあり、共同行為者とみれる事情があるといえそうである。

AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか(その3)。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その7))

上告審 最高裁判所平成20年 7月4日判決4日判時2018号16頁

ⅰ AとBは,本件事故当日の午後9時ころから本件自動二輪車を交代で運転しながら共同して暴走行為を繰り返し,午後11時35分ころ,本件国道上で取締りに向かった本件パトカーから追跡され,いったんこれを逃れた後,午後11時49分ころ,Aが本件自動二輪車を運転して本件国道を走行中,本件駐車場内の本件小型パトカーを見付け,再度これから逃れるために制限速度を大きく超過して走行するとともに,一緒に暴走行為をしていた友人が捕まっていないか本件小型パトカーの様子をうかがおうとしてわき見をしたため,本件自動二輪車を停止させるために停車していた本件パトカーの発見が遅れ,本件事故が発生したというのである(以下,本件小型パトカーを見付けてからのAの運転行為を「本件運転行為」という。)。

ⅱ 以上のような本件運転行為に至る経過や本件運転行為の態様からすれば,本件運転行為は,BとAが共同して行っていた暴走行為から独立したAの単独行為とみることはできず,上記共同暴走行為の一環を成すものというべきである。
 したがって,上告人との関係で民法722条2項の過失相殺をするに当たっては,公平の見地に照らし,本件運転行為におけるAの過失もBの過失として考慮することができると解すべきである。

被害者側の過失論を採用?

AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか(その2)。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その6))

② 裁判経過

1審 岡山地判平成18年2月14日交民 41巻4号865頁

相対的過失相殺を採用
本件においては,二者の過失が競合したことにより一つの交通事故が発生したというものであるが,他方で,被害者たるBは,Aの運転する本件バイクに同乗して,ときに自ら本件バイクを運転して,Aと行動を共にしてきたものであり,Aと特別な関係にあるといえ,過失の内容もAのそれとほとんど共通するものであり,被告Aの過失を抜きにしてはBの絶対的過失割合を定めることができないものである。
 したがって,本件においては,絶対的過失割合を認定することは困難であり,絶対的過失割合による過失相殺の方法は相当ではなく,むしろ,各加害者と被害者との関係ごとにその間の過失の割合に応じて相対的に過失相殺するという方法が本件事案の実態に即しており,それによることが相当であると解される。

(1) BとA(バイク運転者)との間  被害者Bの過失3割
(2) BとC警察官との間  被害者Bの過失9割


控訴審 広島高岡山支判平成19年6月15日交民 41巻4号865頁

絶対的過失割合を採用
本件は、バイク運転者の過失を後部同乗者の過失として考慮するのが適切といえる場合に該当するとは考えられないうえ、Bには、ヘルメットを装着せず、自らの死の危険性を高めたことなどの点において、本件交通事故につき、被告らとの関係において、独自の過失が観念でき、しかも、その過失割合は、相手方C(の運行供用者O)との関係でも、運転者Aとの関係でも同一の割合になるものと解され、絶対的過失割合を認定できるというべきであるから、上記主張は採用できない。


被害者側の過失論の不採用
B及びAに身分上・生活関係上の一体性がないことは明らかであり、損害の公平な分担の見地からも、Aの過失を被害者側の過失として斟酌することは相当でないから、上記主張は採用できない。

運転者A   60%
相手方C(運行供用者のO県) 20%
同乗者(被害者)B 20%


AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか(その1)。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に)(その5)

【16】最判平成20年7月4日判時2018号16頁
AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか。


① 事案の概要

(1)  A及びBは,中学校時代の先輩と後輩の関係であり,平成13年8月13日午後9時ころから,友人ら約20名と共に,自動二輪車3台,乗用車数台に分乗して,集合,離散しながら,空吹かし,蛇行運転,低速走行等の暴走行為を繰り返した。Bは,ヘルメットを着用せずに,消音器を改造した本件自動二輪車にAと二人乗りし,交代で運転をしながら走行していた。
(2)  O警察K警察署のC警察官らは,付近の住民から暴走族が爆音を立てて暴走している旨の通報を受け,同日午後11時20分ころ,これを取り締まるためにC警察官が運転する本件パトカー及び他の警察官が運転する本件小型パトカーの2台で出動した。O県は,本件パトカーの運行供用者である。
(3)  C警察官は,本件国道を走行中,同日午後11時35分ころ,本件自動二輪車が対向車線を走行してくるのを発見し追跡したが,本件自動二輪車が転回して逃走したためこれを見失い,いったん本件国道に面した本件駐車場に入って本件パトカーを停車させた。また,本件小型パトカーも本件駐車場に入って停車していた。本件駐車場先の本件国道は片側1車線で,制限速度は時速40kmであった。
(4)  同日午後11時49分ころ,Aが運転しBが同乗した本件自動二輪車が本件国道を時速約40kmで走行してきたため,C警察官は,これを停止させる目的で,本件パトカーを本件国道上に中央線をまたぐ形で斜めに進出させ,本件自動二輪車が走行してくる車線を完全にふさいだ状態で停車させた。
 付近の道路は暗く,本件パトカーは前照灯及び尾灯をつけていたが,本件自動二輪車に遠くから発見されないように,赤色の警光灯はつけず,サイレンも鳴らしていなかった。
(5)  Aは,本件駐車場内に本件小型パトカーが停車しているのに気付き,時速約70~80kmに加速して本件駐車場前を通過し逃走しようとしたが,その際,友人が捕まっているのではないかと思い,本件小型パトカーの様子をうかがおうとしてわき見をしたため,前方に停車した本件パトカーを発見するのが遅れ,回避する間もなく,その側面に衝突した(以下「本件事故」という。)。
(6)  Bは,本件事故により頭がい骨骨折等の傷害を負い,同月14日午前1時13分ころ死亡した。

Xの友人Aが、Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いてXと飲酒をした後、寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し、追突事故を起こした場合において、Bは自賠法3条の運行供用者にあたるか。 その2(最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その4))

③ 検討

本件は、自賠法16条(被害者請求)の事案であるが、その前提としての、Aが自賠法3条の運行供用者の責任を負うかが争点となっている。

・自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない(自賠法3条)
(1)運行供用者性
ア 運行供用者性の判断基準
「自己のために自動車を運行の用に供する者」とは、
ⅰ 自動車の使用についての支配権を有し (運行支配)
 ⅱ その使用により享受する利益が自己に帰属する (運行利益)
者をいう(二元説 最判昭和43年9月24日判時 539号40頁)。
イ 運行支配概念の拡大・規範化・抽象化
・自動車の運行について指示・制禦をなしうべき地位(最判昭和45年7月16日判時 600号89頁)
・自動車の運行を指示・制禦すべき地位(最判昭和47年12月20日民集27巻11号1611頁)
・自動車の運行を事実上支配、管理することができ、社会通念上その運行が社会に害悪をもたらさないよう監視、監督すべき立場(最判昭和50年11月28日民集29巻10号1818頁)
ウ 運行利益概念の客観化・抽象化
・運行を全体として客観的に観察する(最判昭和46年7月1日民集25巻5号727頁)

エ 運行供用者責任における証明責任の分配(なにが請求原因事実で、何が抗弁か)
α 抗弁説(実務)
β 請求原因説

(2)他人性
② 他人性の判断基準【抗弁2】
ア 「他人」とは
運行供用者及び広義の運転者(狭義の運転者と運転補助者)以外の者をいう。
○最判昭和47年5月30日民集26巻4号【3】(妻は他人判決)


抗弁とするのが実務・判例(最判平成10年12月17日交民31巻6号1659頁【4】)
イ 複数の運行供用者のうち、1人が被害者となった場合の「他人性」
・最判昭和50年11月4日民集29巻10号1501頁 【31】
所有者会社Aの従業員が業務外にAの取締役Bを乗せて起きた事故で、Aの運行支配が「間接的、潜在的、抽象的」であるのに対し、Bの運行支配は、「直接的、顕在的、具体的」として、他人性を否定(非同乗型)。

・最判昭和57年11月26日民集36巻11号2318頁 【32】
所有者Xが、飲酒後、友人Aに運転を委ねて同乗中に起きた事故(死亡)で、Xの自動車の具体的運行に対する支配の程度は、特段の事情ない限り運転していたAのそれに対して優るとも劣らないとして、他人性を否定(同乗型)

・最判平成9年10月31日民集51巻9号3962頁 【33】
所有者Xが飲酒後、自ら安全運転ができないことから、運転代行業者Yに代行運転を委託した事案で、Xの運行支配の程度は、Yに比べ間接的、抽象的であるとして、「特段の事情」あるとして、他人性を肯定(同乗型)。

ウ 最高平成20年9月12日判決の事案の特徴
ⅰ 50年判決【31】の事案では、被害者以外の運行供用者は 車外(非同乗型)
ⅱ 57年判決【32】、平成9年判決【33】の事案では、被害者以外の運行供用者は 車内(同乗型)
ⅲ 平成20年判決の事案では、
・ 被害者以外の運行供用者は 車内の友人Aと,車外の父・自動車所有者Bの2名(混合型)。
・ 車内の使用権者(X)と車外の保有者(B)間  非同乗型として判断
・ 車内の使用権者(X)と車内の運転した者(A)との間 同乗型として判断

2011.02.25

Xの友人Aが、Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いてXと飲酒をした後、寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し、追突事故を起こした場合において、Bは自賠法3条の運行供用者にあたるか。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その3))

【1】最判平成20年9月12日交民41巻5号1085頁 判時2021号38頁
Xの友人Aが、Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いてXと飲酒をした後、寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し、追突事故を起こした場合において、Bは自賠法3条の運行供用者にあたるか。


事案および判旨 (紹介済み。)


② 裁判経過

1審 名古屋一宮支判平成18年 9月12日交民 41巻5号1088頁
差戻前控訴審 名古屋高判平成19年 3月22日

⇒Bの運行供用者責任について(否定)

BはAとは面識もなく、Aの存在自体認識していなかったところ、使用借人であるXを介して、XがAに本件車の運転を依頼し、あるいはその運転を許容してはじめて、Aの運転する本件車に対する運行支配を及ぼすことが可能となり、運行供用者ということができる。
AがXの知人であること、Aは同人宅に帰宅した後にはXに本件車を返還する意思があったこと等の事実に照らしてみても、XにはAに対して本件車の運転を依頼する意思がなく、Xは泥酔していて意識がなかったため、Aが本件車を運転するについて指示はおろか運転していること自体を認識しておらず、また、Aは同人宅に帰宅するために本件車を運転していたに過ぎないことなどから、Xの本件車に対する運行支配はなかったのであるから、したがってまた、Xを介して存在していたBの本件車に対する運行支配も本件事故時には失われていたというほかない。


上告審 最高裁判所平成20年 9月12日判決判時2021号38頁

⇒Bの運行供与者性について(肯定)

ⅰ Xは実家に戻っているときにはBの会社の手伝いなどのために本件自動車を運転することをBから認められていたこと,
ⅱ Xは,親しい関係にあったAから誘われて,午後10時ころ,実家から本件自動車を運転して同人を迎えに行き,電車やバスの運行が終了する翌日午前0時ころにそれぞれの自宅から離れた名古屋市内のバーに到着したこと,
ⅲ Xは,本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて,Aと共にカウンター席で飲酒を始め,そのうちに泥酔して寝込んでしまったこと,
ⅳ Aは,午前4時ころ,Xを起こして帰宅しようとしたが,Xが目を覚まさないため,本件自動車にXを運び込み,上記キーを使用して自宅に向けて本件自動車を運転したこと
ⅴ Xによる上記運行がBの意思に反するものであったというような事情は何らうかがわれない。
 
(まとめ)
これらの事実によれば,Xは,Bから本件自動車を運転することを認められていたところ,深夜,その実家から名古屋市内のバーまで本件自動車を運転したものであるから,その運行はBの容認するところであったと解することができ,また,Xによる上記運行の後,飲酒したXが友人等に本件自動車の運転をゆだねることも,その容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきである。
そして,Xは,電車やバスが運行されていない時間帯に,本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて泥酔したというのであるから,Aが帰宅するために,あるいはXを自宅に送り届けるために上記キーを使用して本件自動車を運転することについて,Xの容認があったというべきである。そうすると,BはAと面識がなく,Aという人物の存在すら認識していなかったとしても,本件運行は,Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり,Bは,客観的外形的に見て,本件運行について,運行供用者に当たると解するのが相当である。

差戻後 控訴審判決 名古屋高等裁判所平成19年3月19日 交民41巻5号【2】

⇒ 他人性(否定)
Aによる本件運行は,Bの容認の範囲内にあったと見られるから,Bも,本件運行について運行供用者に当たるとはいえるが,Bによる本件運行に対する支配は,あくまでXによるAに対する本件自動車の使用の容認・許諾を介するものであって,間接的,潜在的,抽象的であるといわざるを得ない。これに対し,Xによるそれは,Aの本件自動車の運転を容認することによって同人に同車の運転をゆだねたと評価できるものであるから,Bによるそれと比較して,より直接的,顕在的,具体的であったといえる。
 このような本件自動車の具体的な運行に対する支配の程度・態様に照らせば,Xは,運行供用者に該当し,かつ,同じく運行供用者に該当するBよりも,運行支配の程度態様がより直接的,顕在的,具体的であったから,Bに対する関係において法3条にいう「他人」に当たらないと解するのが相当である。

運行供用者責任の要件事実(最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その2))

第2 運行供用者責任の要件事実の確認

【訴訟物】
被害者らから運行供用者に対する自賠法3条による損害賠償請求権

【請求原因】
① 被告の運行供用者(自己のために自動車を運行の用に供する者)性取得原因事実(【1】で検討)
② 当該自動車の運行により原告の生命又は身体侵害の事実
③ 損害の発生・額
④ ②と③との相当因果関係

【抗弁1】
運行供用者性の喪失

【抗弁2】
他人性の欠缺

【抗弁3】
(自賠法3条但書の主張)
①運行供用者及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったことを基礎づける評価根拠事実
②被害者又は運転者以外の第三者に故意または過失があったことを基礎づける評価根拠事実
③自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったことを基礎づける評価根拠事実

【抗弁4】
過失相殺(民法722条2項)
 被害者側の過失を基礎づける評価根拠事実

【抗弁5】
損益相殺・損害の填補
 当該事故による原告の受益の事実

【検討】
好意同乗や素因は、抗弁となるか。

2011.02.24

大家さんのための賃貸借の法務 最終回 居住用建物賃貸借終了の実務(その4)・まとめ

NPO法人日本地主家主協会 の機関紙「和楽」からの転載の最終回。前回は、賃料不払による終了について述べた。次回は最終回を飾る記事として、無断譲渡・無断転貸について述べ、また、全体のまとめを試みる。

1 無断譲渡・無断転貸には、いち早く中止の告知を。
  民法612条(「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」とする。)が、禁ずるまでもなく、大家さんが知らない間に、第三者に賃借人が代わっていたり、賃借物を又貸しされていたりすることは、全く想定していないと思う。そして、このような場合、これをやめてもらうよう告知すべきだし、民法はそのような告知なくとも契約を解除してよいとしている。ある意味当たり前の規定ともいえる。
  ただ、時折、譲渡または転貸を放置したまま、長年経過してしまっている例を見ないではない。そうなると、いわゆる「黙認」したと同様となり、もはや「無断」とは言い難くなってしまう。無断譲渡や無断転貸はもし発見したら、即時に行動をとるべきであろう。
  しかも、判例は、無断譲渡や無断転貸といえども、信頼関係を破壊するに至らないような態様については、解除まではなしえないとしている。そこで、例えば、家屋を賃借していた場合にその一部を短期間第三者に貸したような場合に、これを無断転貸として、契約解除を認めるのは、躊躇する。
  反面、私は、無断転貸ではなく、ある居住用物件について、明渡しの訴訟をする前に、仮処分をしたところ、いつの間にか風俗嬢数人での共同使用となっており、仮処分は本来の賃借人との間でしか効力生じなかったとの例を経験している。その後の訴訟では問題なく、強制執行できたものの、常日頃から物件の管理は密にし、万が一、賃借人以外の者の使用を発見したら、事情を問い合わせの上、原則譲渡や転貸を停止してもらうとした方が心配は少ないであろう。

2 全体のまとめ
  12回にわたり、「大家さんのための賃貸借の法務」と称して、居住用物件の賃貸借をめぐる問題について、契約締結時の問題、契約期間中の問題、そして契約終了時の問題と大きく分けて述べてきた。
  この間、何度か触れたように、賃貸借の世界は、本来は、賃貸人と賃借人との間の自由な契約関係が基本にあるはずでありながら、借地借家法、消費者契約法などが両者間を規制しており、これらの規制は大家さん側が強者、借家人側が弱者であるとの見方を前提に、借家人側を保護する方向でなされていることから、大家さん側が法的知識に乏しいと不意打ちを食らったかのような結論になってしまうことがある。さらに、国会審議中の、「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業務の適正化及び家賃等の取立行為の規制等に関する法律」が立法されると、ますます、大家さんの側は窮屈になると考えられるかもしれない。
  私は、日本の多くの大家さんは、実は、たまたま取得した一棟のアパートやマンションを賃貸経営していたり、節税対策なのかマンションの一室のオーナー程度の規模であって、経済的強者とまでは言えないであろうとの実感を持っている。にもかかわらず、法は、借家人を経済的弱者とみて立法していくので、結果として、強者と弱者が逆転したかのような現実がある。
  この点、法を批判するのはたやすい。しかし、現実に、借地借家法や消費者契約法がある以上、それを前提とした中で、いかに、自らを守っていくかを考えることの方が大事であると考えている。賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業務の適正化及び家賃等の取立行為の規制等に関する法律が立法された場合には、この法律についても同様である。そのためには、これらの法とその運用実務を大家さんの方こそ、知っておくべきである。そのような考えの下、一年にわたり、居住用賃貸借の法務について述べてきた。私の論考が少しでも、大家さんたちの借家経営のヒントとなり、安定した経営となっていくのであれば、幸いである。


以 上

2011.02.18

大家さんのための賃貸借の法務 第11回 居住用建物賃貸借終了の実務(その3)

引き続き、NPO法人日本地主家主協会 の機関紙「和楽」からの転載。

前回は、正当事由が問題となる期間満了や解約による終了について述べたが、今回は、賃料不払による終了について、次回は無断譲渡・無断転貸による解除について述べ、まとめを試みたい。

1 1回の家賃不払いでただちに明渡を請求できるか。
  家賃不払いで明渡を請求するためには、契約を解除する必要がある。契約解除には、家賃不払いが解除できるだけの債務不履行に該当していることが必要である。家賃は、賃貸物件を経営している大家さんにとっては、「血」であり、これが途絶えては、利益どころか、建物管理費、固定資産税等の必要経費や銀行への支払いも滞る。そこで、一度でも家賃不払いがあれば、即契約を解除して賃借人に明渡をして欲しいが、そう簡単にはいかない。
多くの賃貸借契約では、「一度でも家賃の不払いある場合は、賃貸人は何ら催告なくして、この賃貸借契約を解除できる。」としている。そもそも、家賃の不払いは、賃借人の重要な債務を履行していないのだから、約定をまたずしても、債務不履行に該当する。
  ところが、裁判例は、一度の家賃不払いでは、解除までは認めていない。一度不払いがあったとしても、それは、当事者の間の信頼関係を破壊するほどの不履行とはいえないとみられることが大半だからだ(最高裁判所昭和39年7月28日判決がリーディングケース。)。大家さんからみれば、一度でも不払いあれば、この賃借人は信用できず、信頼関係は破壊されていえよう。ただ、裁判所の考える信頼関係は、より客観的に支払回復の余地ないか、不払がこれからも続くのかというような具体的事情によって判断される。賃料を一度だけ遅れるということは、債務不履行には違いないが、回復しないとはいえず、解除事由としては不十分とされる。私も、不払いが続いているが高額保証金が預託されていた事案で、最終的には明渡判決を得たものの、そこに至るまで苦労した経験がある。
  
2 解除事由あるといえる不払いはどの程度の場合か。
  では、どの程度、家賃が不払いが続くと解除が認められるのか。法律に定めあるわけではないが、裁判例で債務不履行解除を認めているものは、3回以上連続して不払いの場合や、頻繁に不払いが生じて累積額が数カ月分にも及んでいる場合などに多い。ただ、この点、敷金や保証金でどの程度担保されるかということや、従来の賃料をめぐる賃貸人と賃借人との交渉経過、賃料額の適切性などとも密接に結びついており、単に、延滞月数や延滞額だけに着目しても正解は得られない。

3 解除事由ある場合の解除の手続き(催告の要否)
  民法での契約解除の手続きは、相手方に相当期間を定め、履行の催告をし、その後、催告期間内に支払いないときに限り、解除するものとしている。賃貸借契約の解除でもその点は同様である。ところで、冒頭の例のような「一度でも家賃の不払いある場合は、賃貸人は何ら催告なくして、この賃貸借契約を解除できる。」というような、いわゆる無催告解除の特約がある場合、これにより、ただちに解除したいところである。
  この点、裁判例は、信頼関係破壊の程度との兼ね合いで、無催告解除の可否を決している(最高裁判所昭和50年11月6日判決など)。無催告解除の合意自体は有効にできるが、その適用は、契約解除できるに足りるまでに信頼関係が破壊された場合に限定されるとの理解である。

4 まとめ
  以上のとおり、大家さんにとっては、家賃不払いの場合にでも簡単に解除できないといういささか、不満な内容をあえて書いたが、裁判例での解除が認められるかどうかというのは、事後的な判断であることを忘れるべきではない。たとえば、裁判例では解除事由としては認め難い1、2回の延滞の場合も、解除が認められないとして放置すべきではなく、どこかのタイミングで催告解除の手続きをとるべきと考える。それで、支払いが回復すればよいが、回復しないまま経過すると、結局は、裁判例の認めている信頼関係が破壊する程度の不払いに至ることになる。放置せずに回収を試みた経過も判断材料になると考える。催告解除を試みることは、それが、支払いへのきっかけになる場合もあり、実務的にも有意義な行動であると考える。
以 上

2011.02.05

大家さんのための賃貸借の法務 第10回 居住用建物賃貸借終了の実務(その2)

NPO法人日本地主家主協会 の会員向けニューズレター「和楽」に平成22年1月から12月まで 建物賃貸借関連の論考を 投稿した。同協会の了解も得て、順次、このブログに掲載中である。今回は、第10回。


前回、賃貸借契約の終了原因全般と、中途解約合意について述べた。前回も正当事由が問題となったが、今回も、正当事由が問題となる期間満了や解約による終了について考える。

1 更新拒絶または解約と正当事由
  定期建物賃貸借以外の賃貸借(更新型賃貸借)での期間満了による契約の終了(更新拒絶)や、期間の定めのない契約での解約を大家さん側から主張することは、困難である。法定更新と正当事由制度のためである。借地借家法は、期間満了により借家契約が終了する場合や、期間の定めなく解約ができる場合の要件として、「正当事由」を要求する(借地借家法28条)。これは、借家法(旧法)時代、昭和16年、男子が出征中、銃後の婦女子が、悪徳大家から明け渡しをされないようにとの配慮から立法されたと言われている。平成3年の借地借家法立法時では、もはや銃後の心配は不要だが、「正当事由」を前提して、借家関係を形成してきた状況を認め、旧法の規定を承継し、旧法で不明確であった正当事由の考慮要素を明確にした。
  すなわち、借地借家法では、正当事由が有無の判断のために、①建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情、②建物の賃貸借に関する従前の経過、③建物の利用状況及び建物の現況、④建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮するものとしている。④は立退料のことを言っていると思えばよい。すなわち、①賃貸人と賃借人双方の当該物件使用の必要性がそれぞれどの程度あるか、②一連の経過中の事情、③建物の利用状況や建物の現況、例えば、建替必要性があるとするなら必要性の程度、④立退料提示の有無、その額 などを判断要素と明示した。もっとも単に「正当事由」とするより、考慮要素が明確になったものの、まだまだ予測可能性が低いと言わざるを得ない。正当事由ない場合、期間の定めある契約といえども法定更新となり、期間の定めのない契約の解約も無効である。
  借地借家法の立法直前のバブル経済下と異なり、居住用賃貸市場は、借り手優位ともいえ、廉価な物件が、容易に発見できるのであり、居住用物件については、立法時の想定より、容易に正当事由が認められる場合がもっとあってもよいのではないだろうか。
  ところで、平成11年に借地借家法が改正され、定期建物賃貸借制度が導入された。結果、契約前に一定の手続要件のもと、期間満了で終了することを合意すれば、借家契約は正当事由の有無を問わず、法定更新されることなく、終了するとの契約が可能となった。私は、このタイプの契約類型ができたことで、新たな更新型賃貸借については、むしろ、正当事由の要件が大家さん側に厳しくならないかという点を懸念する。かつては、更新型賃貸借しかなかったが、定期建物賃貸借制度導入後は、「あえて」更新型契約をしたのであれば、より高度の正当事由なければ更新拒絶はできないとすべきではないかということである。この点については、定量的検討をしているわけでもないので、この程度にしたい。
  
2 正当事由以外の終了のための要件
  ついで正当事由以外の要件についても確認しておきたい。すなわち、期間の定めのある契約の場合、1年ないし半年前までに、更新拒絶の意思を通知する必要がある(借地借家法26条)。期間の定めのない場合は、解約の意思を表示して6カ月で契約が終了する(同法27条)。期間の定めのある契約でも更新拒絶をしたが正当事由が認められない場合、法定更新となって契約は期間の定めのないものとして存続するとするのが判例の考え方である。今回は、正当事由が足りず、更新拒絶が認められないとしても、その後の事情の変化により、正当事由が認められ、解約ができるとされることもありうる。
3 まとめ
 以上のとおり、更新型賃貸借では、正当事由がない限り契約終了は困難であり、勉強している大家さんほど、更新拒絶を諦めることが多い。しかし、真に正当事由が認められる場合かどうか、弁護士とも相談のうえ、検討いただいてはどうか。

以 上

2011.02.02

最近の交通事故判例 ~平成20年から22年までの最高裁判所判決を中心に(その1)

(関東弁護士会連合会で講演した際のレジュメ)
(一度、レジュメ全ページを掲載しましたが、長くて見にくいので、多少なりとも見やすくするため、判例解説部をいったんカットし、別ファイルをつくって、順次リンクします。20110225)

第1 交通事故判例の概観
1 責任主体分野
  運行供与者責任についての運行供与者性に関する最高裁判決
☆最判平成20年9月12日交民41巻5号1085頁 判時2021号38頁【1】
  他人性について
☆名古屋高判平成21年3月19日交民41巻5号1097頁【2】(上記平成20年判決の差戻後控訴審)
2 積極損害分野
   将来介護費用や家屋改造費用、自動車改造費用などに関し、下級審判決が多数あり。
交通事故によって看護を必要とする後遺障害を負ったが、後に交通事故とは別の原因で死亡した事案について、逸失利益の算定においては就労可能年数において減じないとしつつ、将来介護費用については、衡平の観点から減ずるとしている(○最判平成11年12月20日民集53巻9号2038頁【5】)。
   
3 消極損害分野
(中間利息控除の方式)
後遺障害や死亡の場合の逸失利益に関し、中間利息控除の方式として、ライプニッツ方式(複利計算)かホフマン方式(単利計算)の2方式が考えられるところ、最高裁判所は、そのどちらをとっても適法としている。
○最判昭和39年6月24日民集18巻5号874頁【6】(ホフマン方式)
○最判昭和53年10月20日民集32巻7号1500頁【7】(ライプニッツ方式)
この点、平成11年11月に東京 大阪 名古屋 の各裁判官による共同提言がなされ(判時1692号162頁以下。資料2)、ライプニッツ方式をとるべきとされ、以後実務はほぼこの内容に沿って運用されていると言ってよい。
また、中間利息控除の場合の利率については、民事法定利率(年5%)によるとする(○最判平成17年6月14日民集59巻5号983頁【8】)。
  なお、キツネが高速道路に飛び出して死亡事故が起きた事件の民事訴訟で、1審がライプニッツ方式で判断したものに対し、控訴審がホフマン方式によらなければならないとしたところ、上告受理申立がなされ、最高裁判所は受理した上で、「ホフマン方式によらなければならない」とした点を変更した上で、ホフマン方式の採用自体は不合理ではないと判断をしている(○最判平成22年1月26日判時2076号47頁【9】)。

  (基礎収入)
現実収入のない無職者や、事故時点では収入の少ない若年労働者、幼児・学生等の若年未就労者について、基礎収入をどうみるかについては、争点になりやすく、下級審判決も多い。
未就労女子の逸失利益について、女性労働者平均賃金を基礎とするのか、全労働者平均賃金を用いるのかについて、両者の下級審判決があり、上告審が注目されていたが、上告不受理で終わっており、最高裁判所の判断はなされていない。
○東京高判平成13年10月16日判時1772号57頁(女性労働者平均賃金)【10】
○最決平成14年7月9日交民35巻4号921頁(【10】の上告審)【11】

○大阪高判平成13年9月26日判時1768号95頁(全労働者平均賃金)【12】
○最決平成14年5月31日交民35巻3号607頁(【12】の上告審)【13】

○東京高判平成13年8月20日判時1757号117頁(全労働者平均賃金)【14】(上告審は上告受理後上告棄却)

(後遺障害等級認定)
自賠責保険の後遺障害等級表へのあてはめにより、等級認定と労働能力喪失率を認めるのが実務であるが、自賠責保険が等級認定で考慮しないことの多い症例(MTBI、脳髄液減少症、非器質性精神障害など)、について、下級審での裁判例がある。
労働判例であるが、外ぼう醜状の場合に認められる等級が、女性は第7級、男性は第12級とされており、男女に差を設けるのは憲法14条に違反しているとした例がある(○京都地判平成22年5月27日判決判例タイムズ1331号107頁(確定)【15】)。

4 慰謝料分野
   近親者の慰謝料に関し、民法711条では、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。」としており、死亡慰謝料について、父母、配偶者、及び子の固有の慰謝料請求を認めているが、後遺障害慰謝料について近親者慰謝料は認められないか、711条の範囲外のたとえば兄弟姉妹などにも固有の慰謝料は認められないかなどについて、下級審判決例がある。

5 減額事由(過失相殺 素因減額等)分野
(過失相殺)
  過失相殺率については、東京地方裁判所民事第27部裁判官の研究会による「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂4版)」(別冊判タ16号) などを参考にする例が多い。
  被害者側の過失の範囲について、従来の親族関係、同居関係にある場合よりも広げて解釈した最高裁判所判例がある。
☆最判平成20年7月4日判時2018号16頁【16】

(無償同乗)
 無償同乗・好意同乗というだけでは、減額しないのが現在の実務の傾向であるが、危険な運転を容認・助長・誘発した事案では、減額を行っている下級審裁判例がある。

(素因減額)
  被害者の素因が損害発生・拡大に寄与している場合に、損害賠償額を一定割合減額するかが問題となる。
  素因には、①体質・身体的素因 ②心因的要因によるものに分類されるが、これらの要因があるからといって、必ず減額されるわけではなく、たとえば、体質的・身体的素因のうち、身体的特徴や経年性の変性は、事故の被害者として通常想定される個体差の範囲を超えるような事情がない限り、考慮しないのが実務の傾向である。
(体質的・身体的素因)
○最判平成4年6月25日民集46巻4号400頁【17】肯定例(一酸化炭素中毒の既往症)
○最判平成8年10月29日交民29巻5号1272頁【18】肯定例(後縦靭帯骨化症)
○最判平成8年10月29日民集50巻9号2474頁【19】否定例(首が長いという身体的特徴)

(心因的要因)
○最判昭和63年4月21日民集42巻4号243頁【20】(肯定例)
○最判平成5年9月9日判時1477号42頁【21】(肯定例)
○最判平成12年3月24日民集54巻3号1155頁【22】(労働判例・否定例)

6 損益相殺分野
   公的制度による給付金の損益相殺や被害者の加入している保険からの支払いについての損益相殺が問題となることが多い。近時、公的給付との関係、人身傷害保険との関係などが争点となる判決が相次いでなされているところである。控除の基準としては、「①当該給付が本来損害の填補を目的とし、非定額かどうか、②給付原因事由が事故と因果関係を有するかどうか、③給付の趣旨からみて損害額から控除することが妥当かどうか、④当該給付が損害賠償制度との調整規定(例えば代位、求償、返還義務など)を設けているかどうか、⑤負担した費用との対価性を有するかどうか、などが一般的に考慮されている。」とされている(青本195頁)。

(公的給付との関係)

・最判平成22年9月13日裁判所時報1515号6頁 裁判所ウエッブサイト【23】
・最判平成22年10月15日裁判所時報1517号4頁 裁判所ウエッブサイト【24】

(政府事業からの給付額と公的給付の関係)
損益相殺そのものの問題ではないが、類似の問題として紹介。
☆最判平成21年12月17日民集63巻10号2566頁【25】

(自賠法16条の被害者請求と老人保健法による請求との優先関係)
損益相殺そのものの問題ではないが、公的給付が問題になることから紹介。
・最判平成20年2月19日民集62巻2号534頁【26】

(人身傷害保険との関係)
☆最判平成20年10月7日判時2033号119頁【27】

7 遅延損害金分野
  事故後、口頭弁論終結時までの間の遅延損害金について、自賠責保険金等の支払いにより、その限度で減額するのか(全額元本充当後の金額に対し、事故時からの遅延損害金を考えればよいのか)、自賠責保険等の支払いは、そもそも元本に充当するのか、遅延損害金にまず充当するのか(法定充当(民法491条1項))について、争点となり、遅延損害金は消滅しないこと、途中で支払われた自賠責保険金等にも法定充当の規定が適用され、遅延損害金から充当され残が元本に充当されることが明らかとされた。
○最判平成12年9月8日金法1595号63頁【28】
○最判平成16年12月20日判時1868号46頁【29】 

8 物損分野
   修理の相当性、代車の相当性、評価損、休車損害などが争われることが多く、下級審判決が多数ある。

9 時効分野
   民法709条(不法行為責任)による請求、自賠法3条(運行供与者責任)による時効は、傷害のみ事案については、事故のとき、後遺障害事案では、後遺障害の症状固定の診断を受けたとき、死亡事案では死亡の時を起算として、3年(民法724条、自賠法4条による同条の準用)。
   自賠法16条(被害者請求)による自賠責保険会社に対する請求は、平成22年3月31日までの事故については2年、4月1日以降の事故は3年(自動車損害賠償保障法19条)。
   なお、任意保険の関係で、保険約款に基づく履行期が合意によって延期されたと認められ、保険金請求権の消滅時効の起算点がその翌日とされた例がある。
・最判平成20年2月28日判時2000号130頁【30】

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