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2012.02.19

後遺症ケース1(1 後遺症総論)

平成24年2月17日 岡山にて、交通事故の研修講師をして参りました。
パワーポイントレジュメ。「casestady1.pptx」をダウンロード

(1)後遺症と 後遺障害との違い
(2)後遺障害認定の目的
   労働能力喪失率の立証(逸失利益)
   後遺症慰謝料額の立証
(3)自賠責保険で後遺障害と認められる要件
  自動車事故による傷害がなおったとき(施行令2条2号。)に残存する障害
① なおったとき=症状固定のとき
 「なおったとき」とは、傷病に関して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」と言う。)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときをいう。 
② 残存する障害
 「残存する障害」とは、「当該傷病と相当因果関係を有し、かつ、将来においても回復困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態であって、その存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの。                                                    
(昭和50年9月30日基発第565号参照)   
ⅰ 「症状固定」とは一般的な治療を行っても、その治療効果が期待できない状態で、言い換えれば、将来における症状の回復改善が期待できなくなった状態であり、投薬や理学療法により一時的に症状がよくなっても再び戻ってしまう場合を含む。
症状固定とは医学用語ではなく、後遺障害による損害算定のための法律上の概念。
 労災保険で、「治癒」として、休業補償給付から障害補償給付に切り替えているのとパラレルに考えられる。
「治癒」は健康状態に戻ったことを意味する「完治」ではない。
 従って、後遺障害診断書の症状固定日の記載に絶対的意味があるわけではない。
「障害の永久残存性」自賠責保険後遺障害診断書「障害内容の憎悪・緩解の見通し欄」に注意。青本316
ⅱ 相当な期間の治療がなされること
ⅲ その存在が医学的に認められること(「医学的に証明ないし説明可能」なこと)
ⅳ 「労働能力喪失を伴う」
現実的な労働能力の喪失をいっているのではなく、平均的労働能力を意味し、年齢、職種、知識、経験、減収の有無によって影響をうけない。
実際には、個々の職業との関係で労働能力には影響ないとされる場合でも、平均的能力の喪失は等級表に該当するかぎり存在する。
ⅴ 「後遺障害等級表に該当する」
後遺障害の「等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」
 (平成13年12月21日金融庁・国土交通省告示1号。赤い本349 青本259 )
「労災補償 障害認定必携」をもとに運用(青本297)。
 →「後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。
等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。」
 → 但 裁判所を拘束しない。最判平成18年3月30日判時1928号36頁 判例タイムズ1207号 70頁(資料1)

(4)  損害論における位置づけ
  
(5) 自賠責の後遺障害等級認定システム
 ⅰ 認定主体
   形式面 自賠責保険会社
   実質面 損害保険料率算出機構(JA自賠責共済は、JA共済連)
 ⅱ 後遺障害認定が行われる場合
   ① 加害者請求(自賠法15条)
   ② 被害者請求(自賠法16条)
   ③ 事前認定
 ⅲ 不服申し立て制度
   ① 異議申立;損保料率算出機構内の組織による不服審査
申立先;事前認定の場合は任意保険会社
被害者請求の場合は自賠責保険会社
異議申立がなされると、提出書類は調査事務所に送付され、調査事務所の属する地区本部または損調業務本部の稟議を経て結論が出る。同本部の後遺障害等級の審査結果に対して異議申立がなされると、専門医の参加する自賠責保険後遺障害審査会で審査される。
② 紛争処理の申請(自賠法23条の5第1項)
一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構(http://www.jibai-adr.or.jp/)に対して紛争処理の申請をする。→青本311 資料2(紛争処理申請書書式)

(6)逸失利益の算定(青本75 赤い本71)
① 「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」
② 基礎収入額=事故前現実収入を原則。将来 現実収入額以上の収入が得られる見込みの場合はその金額。
  若年労働者の場合 青本78 79 赤い本は、「若年労働者(概ね30歳未満)の場合には、学生との均衡の点もあり全年齢平均の賃金センサスを用いるのを原則とする。」とする(赤い本73)。
  無職者の場合 「基礎収入額の認定にあたっては、失職前の収入実績、賃金センサス平均賃金額を参照して、金額認定をすることになる。」青い本85 126 「再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合特段の事情のない限り失業前の収入を参考にする。但し、失業以前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによる。」 赤い本81
③ 労働能力喪失率は、自賠責保険の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準として、職種、年齢、性別、障害の部位・程度、減収の有無・程度や生活上の障害の程度などの具体的稼働・生活状況に基づき、喪失割合を求める。
④ 原則として、就労可能年限まで喪失するものとする。ただし、比較的軽度の機能障害や神経障害については、その内容・程度と労働・社会生活への適応見込みなどの具体的状況により、喪失期間が限定されることがある。
  むちうち症につき、後記事案1で検討。

(7)後遺症慰謝料算定基準
  青本143
  赤い本141


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