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2012年6月

2012.06.10

原発損害賠償の概要

先日 原子力損害賠償支援機構 主催での 説明会・相談会で 被災者向けに 原発損害賠償の概要をお話しました。
聴講者の居住地にあわせての 講演であったため、自主避難の問題など 聴講者に関係なさそうな論点はふれていません。

1 原発賠償の法的構造
(1)不法行為に基づく損害賠償とは
  民法 709条
① 故意または過失によって
② 他人の権利 または 法律上保護される利益を侵害した(違法性)者は
③ これによって生じた(相当因果関係)
④ 損害を
賠償する責任を負う。

  一般的な不法行為では、このうち①の立証が問題になることが多い。たとえば、交通事故でも、どちらに過失があるのか、①の点が争点になることが多々ある。

(2)原発における損害賠償とは
 原子力損害の賠償に関する法律 通称 原賠法 3条
「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」

 → 無過失責任=故意または過失の証明不要
 ②違法性 ③相当因果関係 ④損害
が立証されれば、
原子力事業者(=今回の福島第一原子力発電所の事故では東京電力)
は 損害賠償責任を負う。
  このうち、 ②違法性については、明らか。
そこで、③相当因果関係と④損害だけが争点として残る可能性がある。

 実際にも、東電は、原発事故と相当因果関係がある損害額は いくらか を中心に争ってきている。

 

2 何が相当因果関係のある損害か また その額は?~問題になるものを中心に~
  
(1)避難費用
・親族への謝礼
 紛争解決センターで 転居の際に手伝うなどの協力をした場合の謝礼について、引越費用と同視して 贈答品代7240円 レンタカー代及び謝礼6万円 を認めた例あり。

・東電は、親戚への宿泊費を1世帯 1泊2000円 1カ月6万円 で計上。それ以外の謝礼認めず。

・携帯電話代増額分
 昨年6月ころまでの増額費用を認めた例と 避難慰謝料に含むとした例とがあり。

・食品購入費
 避難前は、自給自足に近く、お米や野菜を自分で耕作していたが、避難により、購入するようになった。
 紛争解決センターで 認めた例あり。 

・水道代
 避難前は、自宅井戸の水であったので、水は無料だったが、避難により水道代が発生。
 理論的には損害。ただし認めた例が、現状報告されていない。

・家畜への餌やり
 東電が直接請求で 実費分を認めた例があるらしい。
 
(2)精神的損害
・避難自体による精神的損害
 ~昨年9月まで 1カ月10万円(12万円)…中間指針
10月~    1カ月10万円(12万円)…紛争解決センターの総括基準
 避難区分のみなおし~  ←これ自体にも問題あり。
 避難指示解除準備区域
  居住制限区域     月額10万円(240万円の一括請求可能)
  帰宅困難区域     600万円
・ 避難自体慰謝料の増額例(紛争解決センター)
ア 脳梗塞の母介護しながら等の避難の例
イ ばらばらになった家族を探しあるいた例
ウ 避難経過 身体障害の個別事情を考慮した例
エ 要介護の母との別離 二重生活を考慮した例
など。

(3)財物の損害
<事故発生時の価額>と<現在の価額>との差額が 損害
① 家具・自動車等動産類
(事故時価額)
自動車の場合は、中古車市場があるので 311当時の評価が算定しやすい。
その他の家具動産はどうするか。購入価額から減価償却?
(現在価額)
家財について、長期間放置され今後も長期間利用できないこと 家財の除染が現実性に疑問あること、などから95%減を認めた例(紛争解決センター)

自動車等について 放射線量の多い地区に放置したことにより使用不能=0円とした例(紛争解決センター) 

② 不動産
    (事故時価額)
    建物…取得価額から事故時までの減価償却した額
       長期築年数経過建物をどうするか 新築するに必要な費用を基準にできないか。
    土地…
    借地権…
    (現在価額)
    帰宅困難区域…100%減(総括基準)
    双葉郡大熊町について 建物効用毀損が大きいことから95%損害を認めた例

    住宅ローン相当額
    
    地震津波被害との競合

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