保険料不払の場合の保険契約失効と消費者契約法10条(最判平成24年3月16日)
最判平成24年3月16日民集 66巻5号2216頁平成22年(受)第332号 生命保険契約存在確認請求事件 (破棄差戻し)
保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める約款の条項は,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」にはあたらないとされた。
本件各保険契約においては,保険料は払込期月内に払い込むべきものとされ,遅滞しても直ちに保険契約が失効するものではなく,この債務不履行の状態が民法541条により求められる催告期間よりも長い1か月の期間内に解消されない場合に初めて失効する旨が明確に定められている。加えて,払い込むべき保険料等の額が解約返戻金の額を超えないときは,自動的に上告人が保険契約者に保険料相当額を貸し付けて保険契約を有効に存続させる旨の自動貸付条項が定められていて保険契約者が保険料の不払をした場合にも,その権利保護を図るために一定の配慮がされているものといえる。
さらに,保険会社において,本件各保険契約の締結当時,保険料支払債務の不履行があった場合に契約失効前に保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う態勢を整え,そのような実務上の運用が確実にされていたとすれば,保険契約者は保険料支払債務の不履行があったことに気付くことができると考えられる。
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