違法建築の看過と国家賠償請求
最判平成25年3月26日裁時1576号8頁
建築物の建築主が,建築基準法6条4項によりその計画の確認をした建築主事が属する特定行政庁に対し,確認の申請書に添付された構造計算書に一級建築士による偽装が行われていたことを看過してされた確認は国家賠償法1条1項の適用上違法であり,それによって改修工事費用等の財産的損害を受けたとして,同項に基づき損害賠償を求める事案
上記最高裁判決は、
1 建築士の設計に係る建築物の計画についての建築主事による建築確認は,建築主事が職務上通常払うべき注意をもって申請書類の記載を確認していればその記載から当該計画の建築基準関係規定への不適合を発見することができたにもかかわらずその注意を怠って漫然とその不適合を看過した結果当該計画につき建築確認を行ったと認められる場合に,国家賠償法1条1項の適用上違法となるとしたが、具体的事案については、
2 8階建ビジネスホテルの建築計画において,一級建築士により大臣認定プログラムの一つを用いて,構造耐力上主要な部分ごとに計算した長期及び短期の各応力度がそれぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないこと,各階の剛性率がそれぞれ10分の6以上であることなどを確かめたものとして作成された構造計算書に偽装が行われていた場合の建築主事による建築確認が国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえないとした。
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