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2018.02.11

新現代借地・借家法務(第2回 サブリースと契約の解除)

第1回では、賃料増減についてお話し、サブリースの場合の問題点にふれました。第2回及は、サブリースに関連し、賃貸借契約が解除された場合のサブリース契約の帰趨についてお話したいと思います。

転貸借についての法律関係
民法は、賃貸人に無断で、賃借人が転貸をすることを禁止していますが、賃貸人が承諾する場合には、転貸することができます。家賃保証等との説明の場合、転貸をしていることが多いと思います。この場合は、賃貸人(大家さん)と賃借人(転貸業者)との間の賃貸借契約(以下では単に「賃貸借契約」といいます。)、賃借人(転貸業者)と転借人(入居者)との間の賃貸借契約(以下では「サブリース契約」といいます。)の二つの賃貸借契約が存在することになります。サブリース契約は、賃貸借契約を前提としていますので、賃貸借契約が存在しない場合には、前提がなくなり、同様に存在しないことになるはずです。しかし、実際には、転借人保護の観点からそう単純な結論とはなりません。 

賃貸借契約合意解除とサブリース契約
まず、賃貸借契約について、賃貸人と賃借人(転貸業者)との間で、合意解除してもその効力は、転借人(入居者)には対抗できないとされています。この場合の法律関係ですが、判例の考え方などからは、賃借人(転貸業者)との間のサブリース契約の賃貸人の地位が賃貸人に引き継がれるとするのが妥当と思われます。
そうすると、たとえば賃借人(転貸業者)が、倒産するなどして、転借人(入居者)に対する賃料請求権が賃借人(転貸業者)の債権者(銀行など)に差し押さえられた場合、差押さえ後に合意解約してもその地位を債権者に対抗できないし、差押さえ前に合意解約した場合も賃借人(転貸業者)のサブリース契約上の地位を承継したとして、内容証明郵便などで通知をして、転貸業者の債権者に対抗できるようにする必要があります。
賃貸借契約債務不履行解除とサブリース契約
ついで、賃借人(転貸業者)が賃料を支払わない等の場合ですが、まず、賃貸人は、転借人(入居者)に直接に賃料の支払いを請求できます。更に、賃料の支払いがないことは、債務不履行に該当しますので、賃借人(転貸業者)との賃貸借契約を解除することも考えられます。この場合には、合意解除の場合と異なり、転借人(入居者)のサブリース契約上の地位も前提となる賃貸借契約が債務不履行に基づき解除され、存在しなくなりますので、サブリース契約も消滅し、転借人(入居者)は明け渡しをせざるをえないことになります。

賃貸借契約正当事由による更新拒絶とサブリース

ついで、建物が老朽化等の場合に、賃貸借契約を更新拒絶により終了させたい場合があります。この場合、賃貸借契約の終了について、正当事由が必要となり、また、契約期間の6ヶ月前までの更新拒絶の意思表示等の手続きも必要となります。この場合、転借人(入居者)の建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして転借人(入居者)との間での正当事由も必要となります。また、正当事由が存在する場合でも、転借人(入居者)に対する賃借人にするとは別の通知が必要であり、通知をしてから6ヶ月経過していることが転貸借終了の要件となります。

賃借人の賃貸借契約中途解除・更新拒絶とサブリース契約
最後に、賃借人(転貸業者)からの、中途解除(契約書中にある中途解除や契約期間が長い場合の事情変更による等理由付けは様々です。)や、期間満了の場合の更新拒絶の場合のサブリース契約の帰趨を考えたいと思います。
賃貸人としては、中途解除により家賃が入らなくなるのが最も困惑する事態であり、建物建築費用について銀行借入れなどをしている場合には、その返済をどうするかを考える必要も出てきます。
このような事案では、まず、中途解除が可能な事案かを十分に検討する必要があります。中途解除文言について、当初の説明と異なるのではないか、事情変更を言う場合にも契約当初の状況との経済事情等の変更が本当にあるのかどうか等を検討し、中途解除や更新拒絶が権利濫用にあたらないか、事情変更を否定できないかなどを考えます。
賃借人からの中途解除や更新拒絶が認められた場合でも、合意解除の場合と同様その効果は、転借人(入居者)には対抗できないと考えられます。中途解除の場合と同様に、賃借人(転貸業者)との間のサブリース契約の賃貸人の地位が賃貸人に引き継がれることになると思われます。したがって、この場合にも、賃借に(転貸業者)に対する内容証明等による通知をしたうえで、以後は、直接の契約関係にもとづき、家賃収受をしていくべきです。

実務的な対応方法
サブリース業者と賃貸借契約を締結している場合、合意解除の場合とサブリース業者からの中途解除もしくは更新拒絶の場合が問題が大きいと思われます。
まず、いずれの場合においても、終了通知を転借人(入居者)に内容証明郵便等でしていない場合に、家賃の差押さえをしようとするサブリース業者の債権者に対抗できないとの問題があり注意を要します。
加えて、その後の賃貸物件の賃貸管理をどうしていくかを考える必要があり、サブリース業者に代わり、賃貸管理をできる業者を選定することがベターな場合が多いと思います。
このような複雑な権利関係となり、諸手続きも必要となることから、なるべく早い段階で弁護士に相談するべきと考えます。 

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