22 気になる判例平成26年

2014.11.24

投資信託の解約金支払請求と相殺禁止

  最判平成26年6月5日判時2233号109頁損害賠償等請求及び独立当事者参加事件

 再生債務者Xが支払停止前に再生債権者Y(銀行)から購入した投資信託受益権につき,支払停止後の信託契約の解約によりYがXに対して負担することとなった解約金支払債務(本件債務)は、民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たらないとして、Yによる相殺が許されないとした。

(判旨)
本件債務は,Xの支払の停止の前に,XがYから本件受益権を購入し,本件管理委託契約に基づきその管理をYに委託したことにより,Yが解約金の交付を受けることを条件としてXに対して負担した債務であると解される。本件信託契約が解約されるまでXが有していた投資信託委託会社に対する信託受益権に対しては全ての再生債権者が等しくXの責任財産としての期待を有している。XがYに対して取得した解約金支払請求権は信託受益権と実質的には同等の価値を有する。その上,解約実行請求はYがXの支払の停止を知った後にされたものであるから,同請求権を受働債権とする相殺に対するYの期待は合理的とはいい難い。また,Yが本件受益権を管理している間に,Xが本件受益権を他の振替先口座へ振替えた場合には,YがXに対して解約金の支払債務を負担することは生じ得ないから,YのXに対する本件債務の負担が確実であったということもできない。さらに,本件においては,Yが相殺をするためには,他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき,Xに代位して本件受益権につき解約実行請求を行うほかなかった。そうすると,Yが本件債務をもってする相殺の担保的機能に対して合理的な期待を有していたとはいえず,この相殺を許すことは再生債権についての債権者間の公平・平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨に反する。

2014.07.23

生物学的親子関係がない場合の親子関係不存在確認の適否

平成26年7月17日に最高裁判所で、親子関連の3つの判決が言渡された。いずれも、基本的には従来の判例通説を踏襲するものと考えるが、話題になった判決でもあり、紹介する。

① 最一判平成26年07月17日  平成26(オ)226 親子関係不存在確認請求事件(棄却)

 嫡出否認の訴えについて出訴期間を定めた民法777条の規定は,憲法13条,14条1項に違反しないとするもの。

民法772条により嫡出の推定を受ける子につき夫がその嫡出子であることを否認するためにはどのような訴訟手続によるべきものとするかは,立法政策に属する事項であり,同法777条が嫡出否認の訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を持つ制度であって,憲法13条に違反するものではなく,また,所論の憲法14条等違反の問題を生ずるものでもないことは,当裁判所大法廷判決(最高裁昭和28年(オ)第389号同30年7月20日大法廷判決・民集9巻9号1122頁)の趣旨に徴して明らかである(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁)。

②  最一判平成26年07月17日 平成24(受)1402  親子関係不存在確認請求事件(破棄自判)

夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないとするもの。 

民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには,夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁,最高裁平成8年(オ)第380号同12年3月14日第三小法廷判決・裁判集民事197号375頁参照)。そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではない。

③ 最一判平成26年07月17日 最高HP 平成25(受)233  親子関係不存在確認請求事件(破棄自判)

 夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,子が,現時点において夫の下で監護されておらず,妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないとするもの。 

民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには,夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁,最高裁平成8年(オ)第380号同12年3月14日第三小法廷判決・裁判集民事197号375頁参照)。そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,子が,現時点において夫の下で監護されておらず,妻及び生物学上の父の下で順調に成長しているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではない。

この論点に関しては、私が、過去に上告代理人として、破棄自判による逆転勝訴判決を得た、最判平成23年3月28日判タ13574号95頁があるが、同判決は、今回の①から②の判決で示された理論を前提にしてもなお、生物学的に親子関係のない子に対する養育費の支払いが認められない場合を示したものであった。

2014.03.23

父子関係ないまま認知した場合の認知の効力

最判平成26年1月14日裁時1595号1頁

事案の概要
(1) 被上告人は,平成15年3月▲日,上告人の母と婚姻し,平成16年12月▲日,上告人(平成8年▲月▲日生まれ)の認知(以下「本件認知」という。)をした。上告人と被上告人との間には血縁上の父子関係はなく,被上告人は,本件認知をした際,そのことを知っていた。
(2) 上告人と被上告人は,平成17年10月から共に生活するようになったが,一貫して不仲であり,平成19年6月頃,被上告人が遠方で稼働するようになったため,以後,別々に生活するようになった。上告人と被上告人は,その後,ほとんど会っていない。
(3) 被上告人は,上告人の母に対し,離婚を求める訴えを提起し,被上告人の離婚請求を認容する判決がされている。

争点
血縁上の父子関係がないにもかかわらずなされた認知の効力。

判旨
血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知は無効というべきであるところ,自らの意思で認知したことを重視して認知者自身による無効の主張を一切許さないと解することは相当でない。また,血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知については,利害関係人による無効の主張が認められる以上(民法786条),認知を受けた子の保護の観点からみても,あえて認知者自身による無効の主張を一律に制限すべき理由に乏しく,具体的な事案に応じてその必要がある場合には,権利濫用の法理などによりこの主張を制限することも可能である。そして,認知者が,当該認知の効力について強い利害関係を有することは明らかであるし,認知者による血縁上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制限されると解することもできない。

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