AB共同して行っていた暴走行為車両の同乗者Bの被害事故について、暴走運転者Aの過失を被害者側の過失として、考慮することができるか(その2)。 (最近の交通事故判例~平成20年から22年の最高裁判決を中心に(その6))
② 裁判経過
1審 岡山地判平成18年2月14日交民 41巻4号865頁
相対的過失相殺を採用
本件においては,二者の過失が競合したことにより一つの交通事故が発生したというものであるが,他方で,被害者たるBは,Aの運転する本件バイクに同乗して,ときに自ら本件バイクを運転して,Aと行動を共にしてきたものであり,Aと特別な関係にあるといえ,過失の内容もAのそれとほとんど共通するものであり,被告Aの過失を抜きにしてはBの絶対的過失割合を定めることができないものである。
したがって,本件においては,絶対的過失割合を認定することは困難であり,絶対的過失割合による過失相殺の方法は相当ではなく,むしろ,各加害者と被害者との関係ごとにその間の過失の割合に応じて相対的に過失相殺するという方法が本件事案の実態に即しており,それによることが相当であると解される。
(1) BとA(バイク運転者)との間 被害者Bの過失3割
(2) BとC警察官との間 被害者Bの過失9割
控訴審 広島高岡山支判平成19年6月15日交民 41巻4号865頁
絶対的過失割合を採用
本件は、バイク運転者の過失を後部同乗者の過失として考慮するのが適切といえる場合に該当するとは考えられないうえ、Bには、ヘルメットを装着せず、自らの死の危険性を高めたことなどの点において、本件交通事故につき、被告らとの関係において、独自の過失が観念でき、しかも、その過失割合は、相手方C(の運行供用者O)との関係でも、運転者Aとの関係でも同一の割合になるものと解され、絶対的過失割合を認定できるというべきであるから、上記主張は採用できない。
被害者側の過失論の不採用
B及びAに身分上・生活関係上の一体性がないことは明らかであり、損害の公平な分担の見地からも、Aの過失を被害者側の過失として斟酌することは相当でないから、上記主張は採用できない。
運転者A 60%
相手方C(運行供用者のO県) 20%
同乗者(被害者)B 20%
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