04 宅地建物取引業法

2017.03.04

住宅瑕疵担保責任履行法のまとめ

昨年度は、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの紛争処理委員研修の講師を務めた。
担当は、判例紹介ではあったが、基本となる瑕疵担保履行法についてこの機会にまとめておく。

1 瑕疵担保履行法の制度趣旨・概要
(1)品確法の特定住宅瑕疵の担保責任の概要
新築住宅の請負人や売主は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という。)に基づき、新築住宅の請負契約においては、請負人が、新築住宅の売買契約においては、売主が、注文主・買主に引き渡した時から10年間、住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の隠れた瑕疵(以下「特定住宅瑕疵」という。)について、瑕疵担保責任を負う(品確法94条1項、95条1項)。
なお、この場合、売主は契約解除や損害賠償のみならず、瑕疵修補の責任も負うことになる(品確法95条1項)。また、この規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とされている(同条2項)。
新築住宅とは、建設後1年以内で人の居住に供したことのないものであって、分譲住宅だけではなく、賃貸住宅も含む(品確法2条2項)。
(2)瑕疵担保履行法の立法理由
 このように、住宅の主要構造部分などの瑕疵について、新築住宅の売主等は、10年間の瑕疵担保責任を負うこととされているが、売主等が瑕疵担保責任を十分に果たすことができない場合、住宅購入者等が極めて不安定な状態におかれる。構造計算書偽装事件では、売主である宅地建物取引業者が倒産したため、買主は損害賠償の履行を十分に受けることができず、多数・多大な消費者被害の救済が不完全なままとなった。
そこで、住宅購入者等の利益の保護を図るため、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下「瑕疵担保履行法」という。)」が立法された。瑕疵担保履行法では、品確法94条1項及び95条1項の特定住宅瑕疵担保責任(住宅瑕疵担保履行法2条4項)の履行を確保するため、建設業者である請負人や自ら新築住宅を販売する宅地建物取引業者に保証金の供託または瑕疵担保責任保険契約の締結を義務づけた。
なお、品確法94条1項の請負人の責任を特定住宅建設瑕疵担保責任、同法95条1項の売主の責任を特定住宅販売瑕疵担保責任という(瑕疵担保履行法2条5項2号イ、5項2号イ)。
ただし、請負契約の注文主や売買契約の買主が宅建業者である場合には、資力担保義務付けの対象とはならず、代理・媒介をする宅建業者も資力担保義務付けの対象にはならない(なお、買主に対して、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明や同法第37条の書面交付において対応が必要。)。たとえば、分譲マンションのデベロッパーから建設工事を請け負った建設業者や、宅建業者が別の宅建業者に新築住宅を売却した場合には、保証金の供託も瑕疵担保責任保険契約の締結も不要である(瑕疵担保履行法2条5項2号ロ括弧書並びに6項2号ロ括弧書)。

住宅瑕疵担保責任履行法の概要(国土交通省)
 
2 新築住宅を請負う建設業者ならびに販売する宅地建物取引業者の供託義務
建設業者並びに宅地建物取引業者は、各基準日において、当該基準日前10年間に自ら売主となる売買契約に基づき買主に引き渡した新築住宅について、当該買主に対する特定住宅販売瑕疵担保責任の履行を確保するため、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしていなければならない(瑕疵担保履行法2条1項、11条1項)。
そして、新築住宅を宅建業者ではない注文主に引渡した建設業者や、宅建業者ではあない買主に引き渡した売主である宅業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、国土交通省令で定めるところにより基準日(毎年3月31日と9月30日の2回)から3週間以内に、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事(に届け出なければならない(住宅販売瑕疵担保保証金の供託等の届出等 瑕疵担保履行法4条1項、12条1項)供託額は、販売戸数により決まるが、その床面積が55㎡以下のものは、2戸をもって一戸とする(瑕疵担保履行法3条3項、11条3項、同法施行令2条、5条)。

3 契約締結制限
新築住宅を引き渡した建設業者は、瑕疵担保保証金の供託をし、かつ、許可権者への届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに住宅を新築する建設工事の請負契約を締結してはならない(瑕疵担保履行法4条1項)。
また、新築住宅を引き渡した宅地建物取引業者は、瑕疵担保保証金の供託をし、かつ、許可権者への届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない(自ら売主となる新築住宅の売買契約の新たな締結の制限 瑕疵担保履行法13条1項)。

4 瑕疵担保保証金の還付等
住宅建設瑕疵担保保証金の供託をしている建設業者(以下「供託建設業者」という。)または住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている宅地建物取引業者(以下「供託宅地建物取引業者」という。)が特定住宅建設瑕疵担保責任もしくは特定住宅販売瑕疵担保責任を負う期間内に、住宅品質確保法94条1項または95条1項 に規定する隠れた瑕疵によって生じた損害を受けた当該特定住宅建設瑕疵担保責任に係る新築住宅の注文主または当該特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅の買主は、その損害賠償請求権に関し、当該供託宅地建物取引業者が供託をしている住宅販売瑕疵担保保証金について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する(瑕疵担保履行法6条1項、14条1項)。なお、注文主または買主が住宅販売瑕疵担保保証金の還付を請求できるのは、次の場合である(瑕疵担保履行法6条2項、14条2項)。
① 当該損害賠償請求権について債務名義を取得したとき。
② 当該損害賠償請求権の存在及び内容について当該供託建設業者または当該供託宅地建物取引業者と合意した旨が記載された公正証書を作成したときその他これに準ずる場合として国土交通省令で定めるとき。
③ 当該供託建設業者または当該供託宅地建物取引業者が死亡した場合その他当該損害の賠償の義務を履行することができず、又は著しく困難である場合として国土交通省令で定める場合において、国土交通省令で定めるところにより、前項の権利を有することについて国土交通大臣の確認を受けたとき。


5 保険加入義務
2及び3でみたとおり、新築住宅を建設する建設業者や販売する宅地建物取引業者は、住宅建設瑕疵担保保証金もしくは住宅販売瑕疵担保保証金を供託することを義務づけられているが、売主が、住宅瑕疵担保責任保険法人との間で、住宅瑕疵担保責任保険契約を締結している建物については、その住宅戸数は、供託すべき保証金の算定戸数から除かれる。すなわち、住宅建設瑕疵担保保証金もしくは住宅販売瑕疵担保保証金の額は、基準日における新築住宅のうち、当該宅地建物取引業者が住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付した場合における当該住宅販売瑕疵担保責任保険契約に係る新築住宅を除いて算定するものとしている(瑕疵担保履行法3条2項括弧書、11条2項括弧書)。

6 瑕疵担保責任保険契約の内容
新築住宅の請負人となる建設業者や売主となる宅地建物取引業者が締結する住宅瑕疵担保責任保険契約は次の内容のものである必要がある。(瑕疵担保履行法2条5項、6項)
①  建設業者(住宅建設瑕疵担保責任保険の場合)や宅地建物取引業者(住宅販売kし担保責任保険の場合)が保険料を支払うことを約するものであること。
② その引受けを行う者が次に掲げる事項を約して保険料を収受するものであること。
イ 品確保94条1項の規定による担保の責任(以下「特定住宅建設瑕疵担保責任」という。)、95条1項の規定による担保の責任(以下「特定住宅販売瑕疵担保責任」という。)に係る新築住宅に同項に規定する隠れた瑕疵がある場合において、建設業者または宅地建物取引業者が当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行したときに、当該建設業者や宅地建物取引業者の請求に基づき、その履行によって生じた当該宅地建物取引業者の損害をてん補すること。
ロ 特定住宅建設瑕疵担保責任に係る新築住宅に品確法94条1項 に規定する隠れた瑕疵がある場合もしくは特定住宅販売瑕疵担保責任に係る新築住宅に品確法95条1項に規定する隠れた瑕疵がある場合において、建設業者や宅地建物取引業者が相当の期間を経過してもなお当該特定住宅販売瑕疵担保責任を履行しないときに、当該新築住宅の買主(宅地建物取引業者であるものを除く。)の請求に基づき、その隠れた瑕疵によって生じた当該買主の損害をてん補すること。
③ 前号イ及びロの損害をてん補するための保険金額が2000万円以上であること。
④ 新築住宅の発注者や買主が、当該新築住宅の請負人である建設業者当該新築住宅の引渡を受けた時から、あるいは売主である宅地建物取引業者から当該新築住宅の引渡しを受けた時から10年以上の期間にわたって有効であること。したがって、転売されても解除することはできない(瑕疵担保履行法2条5項4号、6項4号)
⑤ 国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、変更又は解除をすることができないこと。
⑥  ①乃至⑤に掲げるもののほか、その内容が②イに規定する建設御者・宅地建物取引業者及び②ロに規定する発注者・買主の利益の保護のため必要なものとして国土交通省令で定める基準に適合すること

住宅瑕疵担保責任保険について(国土交通省)

7 建設業者による供託・瑕疵担保責任保険に関する説明
① 建設業者は、新築住宅の注文主に対し、当該新築住宅の請負契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない(瑕疵担保履行法10条)。
② 建設業者は、瑕疵担保責任保険の締結により、保証金の額を減ずるには、新築住宅の注文主に対し、住宅建設瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付しなければならない(瑕疵担保履行法3条2項)。
③ 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない(建設業法18条)とされるが、この趣旨に従い、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、建設業法19条1項に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。同項の記載事項に「工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容」が含まれる(同項12号)。

建設業者の届出ならびに説明については、東京都の例だが↓に詳しい

住宅瑕疵担保責任履行法にもとづく届出の手引・建設業者用(東京都)


8 宅地建物取引業者による供託・瑕疵担保責任保険に関する説明
① 宅地建物取引業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵担保保証金に関し国土交通省令で定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない(瑕疵担保履行法15条)。
② 宅地建物取引業者は、瑕疵担保責任保険の締結により、保証金の額を減ずるには、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、住宅販売瑕疵担保責任保険契約を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付しなければならない(瑕疵担保履行法11条2項)。
③ 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、書面を交付して、当該宅地又は建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要を説明させなければならない(重要事項説明。宅建業法35条1項13号)。
④ 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、宅建業法37条1項各号の事項を記載した書面を交付しなければならないが、記載事項に、「当該宅地若しくは建物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容」が含まれる(同項11号)。

宅地建物取引業者の届出ならびに説明については、東京都の例だが↓に詳しい
住宅瑕疵担保責任履行法届出の手引・宅地建物取引業者用(東京都)


7 罰則等
住戸数に応じた住宅販売瑕疵担保保証金の供託もしくは瑕疵担保責任保険契約締結の義務に違反して住宅を新築する建設工事の請負契約を締結した者、または、自ら売主となる新築住宅の売買契約の締結をした者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(瑕疵担保履行法39条)。

住宅の品質確保の促進等に関する法律

特定住宅の瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律

2007.10.02

売主・宅建業者の説明義務

売主と宅地建物取引業者の説明義務に関する判例。
但し、これも少し特殊事案であるように思われる。

最判平成17年9月16日判時1912号8頁

マンションの一室の売買の際に、防火扉が作動していない状態で引渡され、その操作方法の説明等もなく、その後、室内での火事の際に、防火扉が作動しなかった事案で、売主には防火扉の操作方法の説明義務違反があるとし、仲介した宅建業者にも同様の義務があるとし、売主に売買契約の附随義務違反、宅建業者に不法行為責任を認めた例

2004.12.31

宅地建物取引業者間売買における売主の地位を非宅建業者に移転した場合の宅建業法の規制適否について

参考法令
宅地建物取引業法 33条の2、37条の2、39条乃至43条

1 問題の所在
  宅地建物取引業法は、次項に記載のとおり、宅地建物取引業者自らが売主となる取引については、特別な業務上の規制をしつつ(法33条の2、37条の2、39条乃至43条)、宅地建物取引業者間の取引については、これを除外していることから(法78条2項)、売主・買主がともに宅地建物取引業者の場合、瑕疵担保責任の免除等、宅地建物取引業法の上記の規定を配慮しない合意が可能である。しかしながら、売買契約後に、買主の地位が、賃貸オフィスビルの開発等を目的とする特定目的会社に譲渡することが予定されており、同特定目的会社が宅地建物取引業者ではない場合、新買主との間では、上記宅地建物取引業法の各規制の適用があるのではないかが問題となる。
  とりわけ、目的物である建物が、建築後相当期間を経た物件であり、契約当事者が予測していない建物の瑕疵、すなわち隠れた瑕疵があり、売主は瑕疵担保責任を免除する規定を置きたい場合に、宅地建物取引業法40条は、宅地建物取引業者を売主とし、非宅地建物取引業者を買主とする取引では、かような規定は無効とされており、かえって、民法570条の原則に戻り、発見時から1年(但し、引渡から10年の消滅時効にかかる。)の間、瑕疵担保責任を負うことになってしまうことから、問題が大きい。

2 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合の取引の規制の概要
宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者が自ら売主となる取引については、次の業務上の規制をしている。但し、買主が宅地建物取引業者の場合には、これらの規制の適用はない(法78条2項)。
これは、宅地建物取引について、宅地建物取引業者には、経験や知識が集積されていることから、宅地建物取引業者が売主となる売買には、買主の不利な合意となりがちなものについて、予めこれを規制して買主を保護する趣旨である。また、このような趣旨による規制であることから、宅地建物取引業者が買主の場合は、経験や知識の集積という点では、同じ立場にあることから、特に保護する必要はなく、取引の基本にもどり、このような規制をせず、当事者間の自由な意思を重視するものとしたものである。
以下、規制を列挙すると、
・自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限(法33条の2)
・クーリングオフ(法37条の2)
・損害賠償額の予定等の制限(法38条)
・手附の額の制限及び解約手付の擬制(法39条)
・瑕疵担保責任についての特約の制限(法40条)
・前金の保全措置の必要(法41条・法41条の2)
・宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限(法42条)
・所有権留保等の禁止(法43条)
本件取引では、このうち、瑕疵担保責任についての特約の制限、前金の保全措置の必要が特に問題となる。

3 買主の地位の譲渡の法的性質と要件
  ある契約から生じた個々的な債権または債務だけでなく、契約当事者たる地位そのものが、包括的に第三者に移転することを契約上の地位移転または契約上の地位譲渡と言う。買主の地位譲渡は、契約上の地位譲渡の典型例である。契約上の地位譲渡は、分析的に考えるとその要素として債権譲渡の側面と免責的債務引受の要素とがあることから、当該地位譲渡当事者と地位譲受人との間の合意のみならず、相手方当事者の同意が必要とされる。
  従って、本件買主の地位譲渡にも、買主と同地位譲受人である特定目的会社との合意のみならず、売主の同意が要件となる。

4 買主の地位譲渡の結果、非宅建業者が「買主」となった場合、2項?@乃至?Fの規制を受けることになるのか?
(1)形式的面での検討
  a 買主の地位譲渡の結果、買主は非宅建業者となる。→規制を受けるという考え方に傾く事情。
  b 売買契約締結時には、買主は宅建業者であり、買主の地位が移転するのは、その後の事象である。→規制を受けないという考え方に傾く事情。
  c 買主の地位譲渡のためには、売主の同意が必要であるが、同意は、売買契約そのものとは異なり、宅建業法が規制している「自ら売主となる契約の締結」とは異なる法律行為である。→規制を受けないという考え方に傾く事情。
(2)実質面での検討
  d 買主の地位譲渡により、あくまで非宅建業者が買主となるのであるから、その者の保護が必要である。→規制を受けるという考え方に傾く事情。
  e 買主の地位は、原買主との契約で移転するのであり、その保護の要否も原買主との間で図れば足りる。→規制を受けないという考え方に傾く事情。
  f 買主の地位譲渡の同意は、原契約の中で、売主の義務とすることが考えられるが、業者買主との契約であることから、規制を受けないこととしていたのに、この原買主が契約した新買主が業者ではなかった場合でも売主の義務として同意せざるを得ず、その結果、売主に対する規制の内容が変ってしまうと売主の責任が自らコントロールできない事情で重くなってしまう。反面、それを嫌って同意を拒否すると、債務不履行となってしまうので、同意は拒否できない。→規制を受けないという考え方に傾く事情。
  h 実質は、転売と同様であるが、転売の場合に、原売主は、転売先に対して、宅地建物取引業者としての責任は負わない。→規制を受けないという考え方に傾く事情。

(3)比較衡量
   (1)(2)の各問題点を総合すると、新買主が非宅地建物取引業者の場合でも、原買主が宅地建物取引業者の場合には、売主との関係では、宅地建物取引業者間の取引であるとみて、法33条の2、37条の2乃至43条の規制は受けないとする解釈が、妥当であると考える。

5 結論   以上のとおり、宅地建物取引業法の宅地建物取引業者売主の規定の適否につき、業者間取引として考えればよいといえそうである。但し、この点について、解釈に争いのでることをも考えると、特に問題となる瑕疵担保責任について、確認的な覚書を作成するべきである。
                                                               以 上


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