03 賃貸借

2018.02.11

定期建物賃貸借の事前説明書面

最判平成22年7月16日集民234号307頁・判例時報2094号58頁・判例タイムズ1333号111頁

判例要旨
賃貸人が定期建物賃貸借契約の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しいにもかかわらず、賃貸借契約に係る公正証書に説明書面の交付があったことを相互に確認する旨の条項があり、賃借人において上記公正証書の内容を承認していることのみから、借地借家法38条2項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったとした原審の認定には、経験則又は採証法則に反する違法がある。


認定事実

  (1) 被上告人は,平成15年10月29日,上告人との間で,「定期賃貸借建物契約書」と題する契約書を取り交わし,期間を同年11月16日から平成18年3月31日まで,賃料を月額20万円として,本件建物部分につき賃貸借契約(以下「本件賃貸借」という。)を締結した。

  (2) 本件賃貸借について,平成15年10月31日,定期建物賃貸借契約公正証書(以下「本件公正証書」という。)が作成された。本件公正証書には,被上告人が,上告人に対し,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて,あらかじめ,その旨記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する旨の条項があり,その末尾には,公証人役場において本件公正証書を作成し,被上告人代表者及び上告人に閲覧させたところ,各自これを承認した旨の記載がある。

  (3) 被上告人は,期間の満了から約11か月を経過した平成19年2月20日,上告人に対し,本件賃貸借は期間の満了により終了した旨の通知をした。

判旨

 前記事実関係によれば,本件公正証書には,説明書面の交付があったことを確認する旨の条項があり,上告人において本件公正証書の内容を承認した旨の記載もある。しかし,記録によれば,現実に説明書面の交付があったことをうかがわせる証拠は,本件公正証書以外,何ら提出されていないし,被上告人は,本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことについて,具体的な主張をせず,単に,上告人において,本件賃貸借の締結時に,本件賃貸借が定期建物賃貸借であり,契約の更新がなく,期間の満了により終了することにつき説明を受け,また,本件公正証書作成時にも,公証人から本件公正証書を読み聞かされ,本件公正証書を閲覧することによって,上記と同様の説明を受けているから,法38条2項所定の説明義務は履行されたといえる旨の主張をするにとどまる。
 これらの事情に照らすと,被上告人は,本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しく,それにもかかわらず,単に,本件公正証書に上記条項があり,上告人において本件公正証書の内容を承認していることのみから,法38条2項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったとした原審の認定は,経験則又は採証法則に反するものといわざるを得ない。
(破棄差戻)


新現代借地・借家法務(第2回 サブリースと契約の解除)

第1回では、賃料増減についてお話し、サブリースの場合の問題点にふれました。第2回及は、サブリースに関連し、賃貸借契約が解除された場合のサブリース契約の帰趨についてお話したいと思います。

転貸借についての法律関係
民法は、賃貸人に無断で、賃借人が転貸をすることを禁止していますが、賃貸人が承諾する場合には、転貸することができます。家賃保証等との説明の場合、転貸をしていることが多いと思います。この場合は、賃貸人(大家さん)と賃借人(転貸業者)との間の賃貸借契約(以下では単に「賃貸借契約」といいます。)、賃借人(転貸業者)と転借人(入居者)との間の賃貸借契約(以下では「サブリース契約」といいます。)の二つの賃貸借契約が存在することになります。サブリース契約は、賃貸借契約を前提としていますので、賃貸借契約が存在しない場合には、前提がなくなり、同様に存在しないことになるはずです。しかし、実際には、転借人保護の観点からそう単純な結論とはなりません。 

賃貸借契約合意解除とサブリース契約
まず、賃貸借契約について、賃貸人と賃借人(転貸業者)との間で、合意解除してもその効力は、転借人(入居者)には対抗できないとされています。この場合の法律関係ですが、判例の考え方などからは、賃借人(転貸業者)との間のサブリース契約の賃貸人の地位が賃貸人に引き継がれるとするのが妥当と思われます。
そうすると、たとえば賃借人(転貸業者)が、倒産するなどして、転借人(入居者)に対する賃料請求権が賃借人(転貸業者)の債権者(銀行など)に差し押さえられた場合、差押さえ後に合意解約してもその地位を債権者に対抗できないし、差押さえ前に合意解約した場合も賃借人(転貸業者)のサブリース契約上の地位を承継したとして、内容証明郵便などで通知をして、転貸業者の債権者に対抗できるようにする必要があります。
賃貸借契約債務不履行解除とサブリース契約
ついで、賃借人(転貸業者)が賃料を支払わない等の場合ですが、まず、賃貸人は、転借人(入居者)に直接に賃料の支払いを請求できます。更に、賃料の支払いがないことは、債務不履行に該当しますので、賃借人(転貸業者)との賃貸借契約を解除することも考えられます。この場合には、合意解除の場合と異なり、転借人(入居者)のサブリース契約上の地位も前提となる賃貸借契約が債務不履行に基づき解除され、存在しなくなりますので、サブリース契約も消滅し、転借人(入居者)は明け渡しをせざるをえないことになります。

賃貸借契約正当事由による更新拒絶とサブリース

ついで、建物が老朽化等の場合に、賃貸借契約を更新拒絶により終了させたい場合があります。この場合、賃貸借契約の終了について、正当事由が必要となり、また、契約期間の6ヶ月前までの更新拒絶の意思表示等の手続きも必要となります。この場合、転借人(入居者)の建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして転借人(入居者)との間での正当事由も必要となります。また、正当事由が存在する場合でも、転借人(入居者)に対する賃借人にするとは別の通知が必要であり、通知をしてから6ヶ月経過していることが転貸借終了の要件となります。

賃借人の賃貸借契約中途解除・更新拒絶とサブリース契約
最後に、賃借人(転貸業者)からの、中途解除(契約書中にある中途解除や契約期間が長い場合の事情変更による等理由付けは様々です。)や、期間満了の場合の更新拒絶の場合のサブリース契約の帰趨を考えたいと思います。
賃貸人としては、中途解除により家賃が入らなくなるのが最も困惑する事態であり、建物建築費用について銀行借入れなどをしている場合には、その返済をどうするかを考える必要も出てきます。
このような事案では、まず、中途解除が可能な事案かを十分に検討する必要があります。中途解除文言について、当初の説明と異なるのではないか、事情変更を言う場合にも契約当初の状況との経済事情等の変更が本当にあるのかどうか等を検討し、中途解除や更新拒絶が権利濫用にあたらないか、事情変更を否定できないかなどを考えます。
賃借人からの中途解除や更新拒絶が認められた場合でも、合意解除の場合と同様その効果は、転借人(入居者)には対抗できないと考えられます。中途解除の場合と同様に、賃借人(転貸業者)との間のサブリース契約の賃貸人の地位が賃貸人に引き継がれることになると思われます。したがって、この場合にも、賃借に(転貸業者)に対する内容証明等による通知をしたうえで、以後は、直接の契約関係にもとづき、家賃収受をしていくべきです。

実務的な対応方法
サブリース業者と賃貸借契約を締結している場合、合意解除の場合とサブリース業者からの中途解除もしくは更新拒絶の場合が問題が大きいと思われます。
まず、いずれの場合においても、終了通知を転借人(入居者)に内容証明郵便等でしていない場合に、家賃の差押さえをしようとするサブリース業者の債権者に対抗できないとの問題があり注意を要します。
加えて、その後の賃貸物件の賃貸管理をどうしていくかを考える必要があり、サブリース業者に代わり、賃貸管理をできる業者を選定することがベターな場合が多いと思います。
このような複雑な権利関係となり、諸手続きも必要となることから、なるべく早い段階で弁護士に相談するべきと考えます。 

新現代の借地・借家法務(第1回 賃料増減請求とサブリース)

本年も昨年に引き続き、現代の借地・借家法務について、ご紹介していきたいと思います。第1回は、賃貸物件オーナーの皆様にとって切実な問題と思われる賃料増減請求について、判例の動向をご紹介します。

賃料増減についての法制度
借地借家法32条1項は次の場合に賃料増減が請求できるとしています。建物の家賃が、①ⅰ土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減、ⅱ土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下、ⅲその他の経済事情の変動 ②近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となった場合を家賃増減の要件としており、手続きとしては、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができます。
 なお、家賃増減の請求をしても協議が整わない場合、いきなり訴訟をするのではなく、調停前置といいまして、まず、調停をするとの手続とされています(民事調停法24条の2、)。
 そして、家賃の増減請求があった場合、当事者間に協議が整うか、裁判の確定で家賃が明確にされるまでの間、増減請求を受けた相手方は、相当と認める家賃を当面の家賃としておき、後に裁判が確定するなどして、新家賃が発生した場合に、増額のときは、賃借人が差額とこれに対する年1割の割合による利息金を支払うものとし、減額の場合も同様、賃貸人が差額とこれに対する1割の割合による金利を返還するものとされています。

 
賃料設定時の特殊事情の考慮
では、単純に経済一般が好況であったり不況であったりしたために、これらの経済一般の事情の変動や近隣の土地建物の価格の変動のみが増減の考慮要素なのでしょうか。この点、判例は、当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、賃料額が決定されるに至った経緯、約定賃料額と当時の近傍同種の建物の賃料相場との関係、賃借人の支予測にかかわる事情、預かり敷金の額や、融資を受けた建築資金の返済の予定にかかわる事情等をも考慮すべきとしています。

サブリースの場合の増減請求
 ところで、以上のような賃料増減請求についての考え方は、サブリースについても妥当するのでしょうか。
 サブリース型の契約では、最低賃料保証や賃料自動増額特約が合意されていることが多く、賃貸人は、これらの合意を前提にして、銀行融資を受け、賃貸物件を建築し、サブリース事業者の設定した内容で不動産賃貸事業を実施していることから、安易に家賃減額が認められるとすると、事業収支に大きく影響が出てしまい、銀行融資の返済も困難になるなどの問題もあるところです。
この点、かつては、サブリース型の契約については、賃貸借契約ではなく共同事業の契約であるなどとして、借地借家法の適用はないものとする考え方もありましたが、現段階では、判例は、「不動産賃貸業等を営む甲が、乙が建築した建物で転貸事業を行うため、乙との間であらかじめ賃料額、その改定等についての協議を調え、その結果に基づき、乙からその建物を一括して賃料自動増額特約等の約定の下に賃借することを内容とする契約(いわゆるサブリース契約)についても、借地借家法32条1項の規定が適用される」としており、サブリース型の契約であっても、賃貸借契約であるとみたうえで、借地借家法の適用があるものとして、増減請求が認められるとしています。
 最低賃料保証や賃料自動増額特約についても、判例は、賃料自動増額特約について、「本件契約には本件賃料自動増額特約が存するが、借地借家法32条1項の規定は、強行法規であって、本件賃料自動増額特約によってもその適用を排除することができないものであるから、本件契約の当事者は、本件賃料自動増額特約が存するとしても、そのことにより直ちに上記規定に基づく賃料増減額請求権の行使が妨げられるものではない」として、自動増額特約があっても減額請求を妨げないものとしており、最低家賃保証についても同様に考えられます。

実務的な対応方法
 賃貸物件のオーナーとしては、転貸人から賃料の減額請求をされたのでは収支が狂い大きな問題となります。賃料自動増額特約や最低家賃保証については、定期建物賃貸借ではその効力が認められます。すなわち、借地借家法38条7項は、第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借(定期建物賃貸借)において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しないとしています。そこで、定期建物賃貸借を使うということも一案と思われます。
 賃料増減請求の案件は、さほどに難しい問題を含んでいます。実際に増額・減額請求に直面した場合、専門家に相談するなどして、慎重に対応すべきでしょう。

2016.02.07

民法(債権法)改正案を考慮した不動産賃貸借契約書

建物賃貸借契約書も作成してみました。
建物賃貸借契約書については、国土交通省http://www.mlit.go.jp/index.htmlの賃貸住宅標準契約書http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000019.htmlというものがあり、これを参考にしました。

【改訂】
改正民法も平成32年4月1日の施行がきまりました。
私の改正案を考慮した不動産賃借契約書を改訂しました。

「新民法を考慮した不動産賃貸契約書」をダウンロード

2014.04.19

原案の送付と定期建物賃貸借の成否

最判平成24年 9月13日民集 66巻9号3263頁

近時、借地借家法38条に規定する定期建物賃貸借の形式でありながら、同条2項の事前説明がなく、定期建物賃貸借とみれない契約例に接した。この点については、最高裁判所が判決を出している。

事案の概要

1 賃貸人Aは、賃借人Bとの間で「定期建物賃貸借契約書」と題する書面(以下「本件契約書」という。)を取り交わし,期間を同日から5年、賃料を月額90万円として、本件建物につき賃貸借契約を締結した。本件契約書には,本件賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了する旨の条項(以下「本件定期借家条項」という。)がある。
2 Aは,本件賃貸借の締結に先立つ日に,Bに対し、本件賃貸借の期間を5年とし、本件定期借家条項と同内容の記載をした本件契約書の原案を送付し、Bは,同原案を検討した。
3 Aは,賃貸借開始から5年経過する6ヶ月前までに、Bに対し,本件賃貸借は期間の満了により終了する旨の通知をした。
4 A→B 建物明渡しを請求し、係争。
判旨

 期間の定めがある建物の賃貸借につき契約の更新がないこととする旨の定めは,公正証書による等書面によって契約をする場合に限りすることができ(法38条1項),そのような賃貸借をしようとするときは,賃貸人は,あらかじめ,賃借人に対し,当該賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同条2項),賃貸人が当該説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる(同条3項)。
 法38条1項の規定に加えて同条2項の規定が置かれた趣旨は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃借人になろうとする者に対し,定期建物賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により終了することを理解させ,当該契約を締結するか否かの意思決定のために十分な情報を提供することのみならず,説明においても更に書面の交付を要求することで契約の更新の有無に関する紛争の発生を未然に防止することにあるものと解される。
 以上のような法38条の規定の構造及び趣旨に照らすと,同条2項は,定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って,賃貸人において,契約書とは別個に,定期建物賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了することについて記載した書面を交付した上,その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして,紛争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると,上記書面の交付を要するか否かについては,当該契約の締結に至る経緯,当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく,形式的,画一的に取り扱うのが相当である。
 したがって,法38条2項所定の書面は,賃借人が,当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要するというべきである。
 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,本件契約書の原案が本件契約書とは別個独立の書面であるということはできず,他に被上告人が上告人に書面を交付して説明したことはうかがわれない。なお,上告人による本件定期借家条項の無効の主張が信義則に反するとまで評価し得るような事情があるともうかがわれない。
 そうすると,本件定期借家条項は無効というべきであるから,本件賃貸借は,定期建物賃貸借に当たらず,約定期間の経過後,期間の定めがない賃貸借として更新されたこととなる(法26条1項)。
(Aの明渡し請求は請求棄却)

2013.01.01

賃借権存在確認の訴えと賃料確認(最判平成24年1月31日)

最判平成24年1月31日裁判集民 239号659頁
平成21年(受)第1766号 建物収去土地明渡等請求及び賃借権確認請求独立当事者参加事件(破棄差戻し)

当事者が土地賃借権そのものを有することの確認を求め、地代額の確認まで求めたとはいえないのに、地代額の確認をも求めているとして主文で地代額を確認した裁判所の判断には、当事者が申し立てていない事項について判決をした違法があるとした例。


(本件の経過等)  

(1) 承継前被上告人亡Aは,第1審判決別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)の賃借人である被上告人Yが,妻の姉である上告人に賃借権の無断譲渡又は無断転貸をしたことを理由に,賃貸借契約を解除した旨主張して,被上告人Yに対し,本件土地上の同目録記載2の建物(以下「本件建物」という。)を収去して本件土地を明け渡すことなどを求める訴訟(以下「本件被参加訴訟」という。)を提起した。

(2) 上告人は,本件土地の賃借人は被上告人Yではなく上告人であると主張して,本件被参加訴訟の原告であるAを相手方として独立当事者参加の申出をした(以下,上記の参加の申出に係る訴訟を「本件参加訴訟」という。)。
 上記の参加の申出書(以下「本件申出書」という。)には,請求の趣旨として,「原告と参加人との間において,参加人が別紙物件目録記載の土地につき,貸主を原告とする建物所有目的の賃借権を有することを確認する」と記載され,請求原因として,B(以下「B」という。)が,昭和45年1月,Aとの間で,本件土地につき,木造建物及びその他の工作物の設置を目的とし,期間を20年,地代を年額で固定資産評価額の1000分の60に相当する金額とする賃貸借契約を締結したこと,Bの死亡により,Bの長女である上告人が本件土地の賃借権を相続により承継したことなどが記載されている。

(3) 第1審においては,本件参加訴訟では,専ら,上告人がBから本件土地の賃借権を相続により承継したか否かが争点となり,本件土地の地代額が争点となることはなかった。

(4) 第1審判決は,主文において,本件被参加訴訟に係るAの請求を棄却するとともに,本件参加訴訟について,上告人が,本件土地につき,Aを貸主として,地代を年額で固定資産評価額の1000分の60に相当する金額とし,木造建物及びその他の工作物の設置を目的とする賃借権を有することを確認した。

(5) 上告人は,第1審判決に対し,第1審においては単に賃借権の確認を求めたのであって,地代額の確認は求めていなかったなどと主張して控訴した上,原審において,上告人が本件土地につきAを貸主として地代を年額6万8160円とし木造建物及びその他の工作物の設置を目的とする賃借権を有することの確認を求める旨の訴えの変更の申立てをした。なお,上記金額は,第1審口頭弁論終結当時の本件土地の固定資産評価額の1000分の60に相当する金額より低額である。

原審は,本件申出書における請求原因の記載によれば,上告人は,地代を年額で固定資産評価額の1000分の60に相当する金額とする賃借権の確認を求めていたと認められ,第1審判決は上告人の請求を全部認容したのであるから,控訴の利益を認めることができないとして,上告人の控訴を却下した。

(判旨)
「しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 土地賃借権を有すると主張する者は,土地所有者に対し,地代額の確認を求めずに,土地賃借権そのものを有することの確認のみを求めることができるところ(最高裁昭和44年(オ)第500号同年9月11日第一小法廷判決・裁判集民事96号539頁参照),本件申出書における請求の趣旨の記載に加え,第1審における審理の経過等を併せ考慮すると,上告人は,第1審において,本件土地の賃借権そのものを有することの確認を求めたのであって,地代額の確認まで求めたものとはいえず,本件申出書における請求原因中の地代額の記載は,自らが相続により承継したと主張する上記賃借権の発生原因であるBとAとの間で締結された当初の賃貸借契約の内容として,その地代額を主張したものにすぎないことが明らかである。
 しかるに,第1審判決の「事実及び理由」中の「参加人の請求」及び「参加人の主張(請求原因)」には,上告人が本件土地につき地代を年額で固定資産評価額の1000分の60に相当する金額とする賃借権の確認を求める旨の記載がされているのであって,第1審は,上告人が上記地代額の確認をも求めているものとして,上告人の請求を認容する判決をしたと認められ,第1審判決の主文に記載された地代額に係る部分が,係争法律関係に関してされた判断ではないということはできない。
 したがって,第1審判決には,当事者が申し立てていない事項について判決をした違法があり,この違法を看過し,控訴の利益がないとして第1審判決に対する控訴を却下した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」

2011.07.17

更新料有効最高裁判所判決

建物賃貸借において、更新の際に授受されることが多いと思われる 更新料 について、大阪高等裁判所で、3つの無効判決と1つの有効判決がなされていた。今般、これら全部について、最高裁判所が有効判決をなした。

最高裁判所ホームページに そのうちの大阪高等裁判所平成22年2月24日判決(一審 京都地方裁判所平成21年9月25日判決)についてのものが掲載されている。
ちなみに、従来の3つの訴訟は
① 一審有効(京都地方裁判所平成21年1月30日判決)→控訴審無効(大阪高裁平成21年8月27日版判決
② 一審有効→控訴審有効(大津地方裁判所平成21年3月27日判決)→控訴審有効(大阪高裁平成21年10月29日判決
③ 一審無効(京都地方裁判所平成21年9月25日)→控訴審無効(大阪高裁平成22年2月24日判決
と結論が更新料合意について有効と無効にわかれていた。

事案の概要
最高裁ホームページに記載されている判決の原審である前記大阪高裁平成22年2月24日判決の事案は次のとおりである。
(1)Xは、平成15年4月1日、Yとの間で、本件建物につき、期間を同日から平成16年3月31日まで(1年間)、賃料を月額3万8000円、更新料を賃料の2か月分、定額補修分担金を12万円とする本件賃貸借契約を締結し、平成15年4月1日、本件建物の引渡しを受けた。

(2) 本件賃貸借契約に係る契約書には、Xは、契約締結時に、Yに対し、本件建物退去後の原状回復費用の一部として12万円の定額補修分担金を支払う旨の条項があり、また、本件賃貸借契約の更新につき、
①Xは、期間満了の60日前までに申し出ることにより、本件賃貸借契約の更新をすることができる、
②Xは、本件賃貸借契約を更新するときは、これが法定更新であるか、合意更新であるかにかかわりなく、1年経過するごとに、上告人に対し、更新料として賃料の2か月分を支払わなければならない、
③ Yは、Xの入居期間にかかわりなく、更新料の返還、精算等には応じない
旨の更新料条項がある。

(3)Xは、Yとの間で、平成16年から平成18年までの毎年2月ころ、3回にわたり本件賃貸借契約をそれぞれ1年間更新する旨の合意をし、その都度、上告人に対し、更新料として7万6000円を支払った。

(4)Xが、平成18年に更新された本件賃貸借契約の期間満了後である平成19年4月1日以降も本件建物の使用を継続したことから、本件賃貸借契約は、同日更に更新されたものとみなされた。その際、Xは、Yに対し、更新料7万6000円の支払をしていない。


最高裁平成23年7月15日判決

本件条項を消費者契約法10条により無効とした原審の判断は是認することができないとし、その理由としては、次のとおりとした。

(1) 更新料は、期間が満了し、賃貸借契約を更新する際に、賃借人と賃貸人との間で授受される金員である。これがいかなる性質を有するかは、賃貸借契約成立前後の当事者双方の事情、更新料条項が成立するに至った経緯その他諸般の事情を総合考量し、具体的事実関係に即して判断されるべきであるが(最高裁昭和58年(オ)第1289号同59年4月20日第二小法廷判決・民集38巻6号610頁参照 (但し借地の事案))、更新料は、賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であり、その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからすると、更新料は、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。

(2) そこで、更新料条項が、消費者契約法10条により無効とされるか否かについて検討する。
ア 消費者契約法10条は、消費者契約の条項を無効とする要件として、当該条項が、民法等の法律の公の秩序に関しない規定、すなわち任意規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重するものであることを定めるところ、ここにいう任意規定には、明文の規定のみならず、一般的な法理等も含まれると解するのが相当である。そして、賃貸借契約は、賃貸人が物件を賃借人に使用させることを約し、賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約することによって効力を生ずる(民法601条)のであるから、更新料条項は、一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味において、任意規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の義務を加重するものに当たるというべきである。
イ また、消費者契約法10条は、消費者契約の条項を無効とする要件として、当該条項が、民法1条2項に規定する基本原則、すなわち信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであることをも定めるところ、当該条項が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは、消費者契約法の趣旨、目的(同法1条参照)に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべきである。
更新料条項についてみると、更新料が、一般に、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは、前記(1)に説示したとおりであり、更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどということはできない。また、一定の地域において、期間満了の際、賃借人が賃貸人に対し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや、従前、裁判上の和解手続等においても、更新料条項は公序良俗に反するなどとして、これを当然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからすると、更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、賃借人と賃貸人との間に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
そうすると、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが相当である。
(3) これを本件についてみると、前記認定事実によれば、本件条項は本件契約書に一義的かつ明確に記載されているところ、その内容は、更新料の額を賃料の2か月分とし、本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって、上記特段の事情が存するとはいえず、これを消費者契約法10条により無効とすることはできない。また、これまで説示したところによれば、本件条項を、借地借家法30条にいう同法第3章第1節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものということもできない。

今後の実務に与える影響

更新料慣習を否定しているわけではないので、賃貸借の契約実務自体はあまり変わらないかもしれない。
 また、実質家賃としては同額の場合、更新料により一時金が発生する契約と、更新料なしのかわりに、若干家賃が高額となる場合とでは、後者を望む賃借人が増えるかもしれない。もとより、従来からの賃貸借実務を承認する内容の判決ではあるが、最高裁判決がなされ報道されたことにより、賃借人の契約する際の意識に与える影響があるかもしれないとの感想を持った。
 なお、本件では「本件条項は本件契約書に一義的かつ明確に記載されているところ、その内容は、更新料の額を賃料の2か月分とし、本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって、上記特段の事情が存するとはいえず、これを消費者契約法10条により無効とすることはできない。」としているが、単純に、賃貸借1年契約について更新料2カ月の場合に、常に有効とみるべきではなく、合意時点での当事者、特に賃借人の意思確認、更新料も含めた実質的賃料の観点から暴利とならない額に留まっているか等、個別具体的に信義則に反することのない額に範囲に留まっているかを検討するべきと思われる。
 さらに、更新料有効とすれば、若干長期の定期建物賃貸借型で契約するニーズが賃借人側に出るのではないかという気がしている。

2011.05.02

○ 居住用賃貸借において敷引特約が無効とはいえないとされた例

最近、賃貸実務上参考になる判例が出たので、以下紹介する。


判旨②の中で、更新料合意が有効ととれる部分があるのが興味深い。もっともいわゆる傍論なのかもしれないが。

○ 居住用賃貸借において敷引特約が無効とはいえないとされた例(最判平成23年3月24日 最高裁HP

1 関西方面では、賃貸借に敷引特約をしている例がままみられると言われている。敷引特約とは、賃貸借契約時に敷金として賃貸人が賃借人から預かった金員のうち、一定の額を「敷引き」あるいは「償却」と称して、賃貸借終了時には、全額を返還せず、「敷引き」「償却」として控除した残のみを返還するという方式の特約をいう。

2 これについての従来の裁判例は、有効な契約であることを前提としつつ、終了時点の個別事情により判断するもの、消費者契約法10条により無効とするものなどにわかれていたが、消費者契約法による判断をするものがやや多かったと思われる。

 最高裁判所は、阪神・淡路大震災時の家屋倒壊に関連して、賃貸借が終了したが、敷引特約が適用されるかについて、居住用の家屋の賃貸借における敷金につき、賃貸借契約終了時にそのうちの一定金額又は一定割合の金員を返還しない旨のいわゆる敷引特約がされた場合であっても、災害により家屋が滅失して賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り、右特約を適用することはできないとしていた(最判平成10年9月3日民集 52巻6号1467頁)が、通常の終了については、最高裁判所の判断はまだなかった。

平成23年3月24日判決はこの問題について、まず、消費者契約法による無効となる場合があるとの一般論を述べ、次に当該契約については、無効にあたらないとして、当該敷引契約を有効とした。

(判旨)

① 消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となる。

② 本件特約は,契約締結から明渡しまでの経過年数に応じて18万円ないし34万円を本件保証金40万円から控除するというものであって,本件敷引金の額が,契約の経過年数や本件建物の場所,専有面積等に照らし,本件建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額を大きく超えるものとまではいえない。また,本件契約における賃料は月額9万6000円であって,敷引金の額は,上記経過年数に応じて上記金額の2倍弱ないし3.5倍強にとどまっていることに加えて,賃借人は,本件契約が更新される場合に1か月分の賃料相当額の更新料の支払義務を負うほかには,礼金等他の一時金を支払う義務を負っていない。そうすると,本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。

弁護士&more ANEX


2011.03.21

東北関東大震災からの被害回復に関連する法律

平成23年3月11日。
地震発生時に私は、依頼者と打ち合わせをしていた。じわっと揺れ、そして激しく揺れだし、「机の下に入りましょう。」と叫んで、依頼者2名、弁護士2名で、机の下に隠れた。
バブル期にできた9階建てのペンシルビルの8階で、大海原で小舟が揺れるような感じで、激しく揺れ、机の下で、依頼者に「あれ(東京直下地震)が来てしまったのでしょうか。」と小声で話しをした。書棚の上のテミスの像が転がり、落下。花瓶も落ちて割れた。
地震が止まり、怪我のないことを確認しあったあと、事務所の他のメンバーの安否を確認しに、事務スペースに駆け込んだところ、幸いにも誰ひとり、怪我などしていなかった。花瓶の他は、水槽が壊れ水が出ていたり、本が散乱している程度で、大きな被害は全くなかった。

エレベーターは止まっており、地下鉄も止まっていると予想され、依頼者には歩いて帰っていただいた。
東京直下型地震ではなかったが、岩手 宮城 福島の東北3県、茨城 千葉の関東2県に大きな損害の出た震災となったこと、とりわけ 強烈な津波に襲われたことがだんだんとわかってきた。
雑用を終え、目白の学校に行っている娘を迎えに行く(徒歩2時間程度)。その後、都電が動いていることがわかり、都電にのり、都内の親戚の家に泊めてもらった。
その後、さらに被害大きいことがわかり、また、福島の原子力発電所の被害も明らかになった。


震災で亡くなられた方のご冥福と行方不明の方々が無事に見つかることをお祈りしたい。そして、被災地の一日も早い復興を祈りたい。

(震災からの被害回復のために関連すると思われる特別法)

被災者生活再建支援法

同法の手続きを解説した 内閣府作成のパンフレット 被災者支援に関する各種制度の概要

罹災都市借地借家臨時処理法


原子力損害の賠償に関する法律

同法の概要を説明した、(財)高度情報科学技術研究機構内の 原子力百科事典内の解説 日本の原子力損害賠償制度の概要

2011.02.24

大家さんのための賃貸借の法務 最終回 居住用建物賃貸借終了の実務(その4)・まとめ

NPO法人日本地主家主協会 の機関紙「和楽」からの転載の最終回。前回は、賃料不払による終了について述べた。次回は最終回を飾る記事として、無断譲渡・無断転貸について述べ、また、全体のまとめを試みる。

1 無断譲渡・無断転貸には、いち早く中止の告知を。
  民法612条(「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」とする。)が、禁ずるまでもなく、大家さんが知らない間に、第三者に賃借人が代わっていたり、賃借物を又貸しされていたりすることは、全く想定していないと思う。そして、このような場合、これをやめてもらうよう告知すべきだし、民法はそのような告知なくとも契約を解除してよいとしている。ある意味当たり前の規定ともいえる。
  ただ、時折、譲渡または転貸を放置したまま、長年経過してしまっている例を見ないではない。そうなると、いわゆる「黙認」したと同様となり、もはや「無断」とは言い難くなってしまう。無断譲渡や無断転貸はもし発見したら、即時に行動をとるべきであろう。
  しかも、判例は、無断譲渡や無断転貸といえども、信頼関係を破壊するに至らないような態様については、解除まではなしえないとしている。そこで、例えば、家屋を賃借していた場合にその一部を短期間第三者に貸したような場合に、これを無断転貸として、契約解除を認めるのは、躊躇する。
  反面、私は、無断転貸ではなく、ある居住用物件について、明渡しの訴訟をする前に、仮処分をしたところ、いつの間にか風俗嬢数人での共同使用となっており、仮処分は本来の賃借人との間でしか効力生じなかったとの例を経験している。その後の訴訟では問題なく、強制執行できたものの、常日頃から物件の管理は密にし、万が一、賃借人以外の者の使用を発見したら、事情を問い合わせの上、原則譲渡や転貸を停止してもらうとした方が心配は少ないであろう。

2 全体のまとめ
  12回にわたり、「大家さんのための賃貸借の法務」と称して、居住用物件の賃貸借をめぐる問題について、契約締結時の問題、契約期間中の問題、そして契約終了時の問題と大きく分けて述べてきた。
  この間、何度か触れたように、賃貸借の世界は、本来は、賃貸人と賃借人との間の自由な契約関係が基本にあるはずでありながら、借地借家法、消費者契約法などが両者間を規制しており、これらの規制は大家さん側が強者、借家人側が弱者であるとの見方を前提に、借家人側を保護する方向でなされていることから、大家さん側が法的知識に乏しいと不意打ちを食らったかのような結論になってしまうことがある。さらに、国会審議中の、「賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業務の適正化及び家賃等の取立行為の規制等に関する法律」が立法されると、ますます、大家さんの側は窮屈になると考えられるかもしれない。
  私は、日本の多くの大家さんは、実は、たまたま取得した一棟のアパートやマンションを賃貸経営していたり、節税対策なのかマンションの一室のオーナー程度の規模であって、経済的強者とまでは言えないであろうとの実感を持っている。にもかかわらず、法は、借家人を経済的弱者とみて立法していくので、結果として、強者と弱者が逆転したかのような現実がある。
  この点、法を批判するのはたやすい。しかし、現実に、借地借家法や消費者契約法がある以上、それを前提とした中で、いかに、自らを守っていくかを考えることの方が大事であると考えている。賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業務の適正化及び家賃等の取立行為の規制等に関する法律が立法された場合には、この法律についても同様である。そのためには、これらの法とその運用実務を大家さんの方こそ、知っておくべきである。そのような考えの下、一年にわたり、居住用賃貸借の法務について述べてきた。私の論考が少しでも、大家さんたちの借家経営のヒントとなり、安定した経営となっていくのであれば、幸いである。


以 上

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